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2014年4月20日日曜日

急旋回の怖さ

先日来、韓国のフェリー事故で多くの修学旅行の生徒が、安息不明となっていることが報道されている。
このフェリーは、日本で就航していた時の船の名前は「波之上丸」
私が奄美諸島の与路島に村落調査に行く際に、何度か利用した船である。
初めて奄美に行った時の船が、 3000トンほどで波が高く、立って歩くのにも苦労した。
それが、倍以上の大きさを誇るこの船が、簡単に沈没するなど今でも想像できない。
どちらかというと、揺れが緩やかなので、港に降りてもその揺れが続いている感じがしたのを憶えている。

私は修学旅行で飛行機を何度か利用したが、その度に「もしも」を想像した。
この1月に飛行機で、北海道への修学旅行に出かけたが、その時もそうだった。
以前の学校で、グァム島へ修学旅行へ行った帰りに、飛行機が落雷に遭って機内に焦げくさい臭いがした時は驚いた。
飛行機が落雷に遭った程度では墜落しないことは分かったが、揺れも酷くて不安に駆られた。
つい一月前程にもマレーシア航空機が消息不明にもなっている。
絶対安全というのは飛行機にも無い。
もし、韓国のこの学校の消息不明者が全員亡くなったとしたら、この学年はどうなるのだろうと思ったりする。
残された生徒も職員も、心に深い傷を負うだろう。

原因は3等航海士の急旋回によって、荷崩れを起こしたのでは無いかと言うことである。
そして、「波之上丸」の上部に船室を拡張して、重心を高くしていたことも、影響した可能性があるという。
しかも、遭難時における対応のまずさや、船長らの無責任さによって被害を大きくした。
やるせない気持ちになるのは、助かった引率の教頭が、呵責の念から自殺したことである。
生徒を助ける行為から、逃げ遅れた教師と自分との違いに耐えきれなかったのだろう。
はたして、自分がその場にいて、命の危険を顧みず対応できたか自信は無い。

この事故の真の責任者は、誰なのだろうか。
急旋回した3等航海士だろうか
事故の対応をしっかりしなかった船長だろうか
船を改造してリスクを生じさせ、人員の配置をしっかりしなかった船会社だろうか
おそらく全てであろう、これらの悪条件がそろってしまったから、史上最悪と言われる事故が起こった。

これはこの韓国の当事者を笑えない。
日本の今の右への急旋回は、転覆の危機を生じさせてはいないのか。
日本内部できしみを起こして、崩壊の危機をもたらすのでは無いのか。
そして、もしそうなれば多くの庶民が行き場を失う。
そんな不安を駆り立てる、事故でもあった。



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