退職を機に、私は兼業狩猟採集・農家にもなった。
今までは教師をしながらの兼業農家もしていた。
兼業農家と言っても、農業からの収入は全く無くて、自給用だったり、配り物だったりした。
作物をあげるとお返しがあるので、物々交換の意味もあったが、喜んでもらう方が重要だった。
定収入を失った今では、まずなるべく金をかけないで農業をしなくてはいけない。
そのために、肥料は安い鶏糞くらいにして、後は海藻や落ち葉を拾って肥料にする。
既に退職前から、海岸に出て打ち上げられた海藻を拾ってきている。
海藻のある海岸は自動車が進入禁止なので、運ぶのに色々と工夫を凝らしている。
落ち葉に関しても、かさばるので籾殻を入れるビニール袋を使うなどの工夫をした。
散歩もただの散歩ではなくなった。
クロとの散歩では、遠くの千種川の河原で出かけて、自然に生えているオニグルミを拾ったりしている。
オニグルミは小さく堅いので、誰も拾わないらしく、いっぱい落ちたままだ。
それを昨日も拾いに行ったら、川には白鳥が1羽川面に浮かんでいた。
優雅な白鳥を見ながら、せっせとクルミ拾いをした。
そのそばで、クロが時間を持て余して、繋いでいたクルミの木に巻き付いてしまい、解くのに手間取った。
その採ってきたクルミは、暇な時に庭で日向ぼっこをしながら、金槌で割って食べている。
小さいのでほじくり出すのが面倒だが、千枚通しを使えば何とかやれる。
昼食後は、仕事に行っていた頃は、職場の近くの海岸を散歩していたが、近くには海は無い。
その代わり、田んぼのあぜ道や、貯水池の土手に散歩に行って、ヨモギやツクシ、ノビルを採っている。
ヨモギは乾燥機で乾燥させて、粉末にしたら、粉とモグサができあがった。
粉はあまり多くとれないので、乾燥した葉をそのままお茶代わりにしたりもしている。
ツクシはこれまではいっぱい生えているのを見ても、はかまを取るのが面倒なので採らなかった。
今は十分時間があるので、採ってきて私がはかまを取り、家内に料理してもらった。
ノビルはそのまま洗って、根と葉を切って食べるだけである。
また、夕方にも時間が出来たので、海に行ってアサリを捕ろうと思ったがいなかった。
仕方なく帰ろうかなと思ったら、亀の手がいっぱいいたので、それを獲ってきてゆでてもらって食べた。
その後「海辺を食べる図鑑」(南方新社)を調べると、海の物はたいてい食べられると言うことなである。
その時は海藻がいっぱい生えていたが、食べられそうに無かったので採らなかった。
これからは、岩についている海藻や、見向きもされないヒザラガイなどの岩に張り付いた貝も獲ってみようかと思う。
魚釣りも良いのだが、釣り道具などに費用が掛かるので、拾ったり潜って採った方が安上がりだ。
そもそも近くの赤穂の海は、私が子供の頃とは違い、魚が減ってしまって簡単に釣れない。
当然、農業に関しては、色々と金は掛かるが、肥料をなるべく自然の物を用いたり、種取り、苗とりも自分でやろうと思う。
出荷することも考えたが、収入を得ることになると、自分のやるべき研究が疎かになってしまう。
水泳もこれからは競技としてでは無く、漁に活かしていきたいと思っている。
去年から始めたSUPと組み合わせれば、立派な海人、川人になれるかもしれない。
これで、好きな歌や踊りが出来れば、立派な兼業狩猟採集・農家になれる。
おそらく、高度経済成長が始まるまでは、田舎ではそれが普通だったのだろうと思う。
長年、文化人類学や民俗学に関わってきたが、それを暮らしに活かせそうである。
そして、全くの貧乏だったが、夢と希望に満ちていた学生時代に戻った気分でもある。
論文の執筆に悩むのも一緒だが・・・・
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