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2023年11月23日木曜日

髭と髪とデニムジャケット

 髭を蓄えるようになって4ヶ月以上経つ。

はじめは無精髭だった。

目的は農作業の時に顔を蚊に刺されるので、少しでも防ごうと思った。

ちょうど夏休みということもあったので、非常勤講師の仕事もなく都合がよかった。

新学期には剃っていくつもりだったが、母の49日の際にそのまま臨んだら、似合っていると弟嫁から褒められた。

そうなると、髭を嫌がっていた家内にも言い訳がたった。

そして、ネットで手入れ方法を調べて、それなりの道具もそろえた。

自分に髭があると、他の人の髭も気になる。

単に無精で伸ばしていると思っていたが、結構手入れしていることがわかった。

髪の毛と同じで、ちゃんと整えないとみっともなく見える。


最近は諦められたのか、家内も髭に関しては何も言わなくなった。

私自身、髭がある方が男として自然に思えてきたので、剃るつもりはなくなった。

一方、髭はちゃんと生えるのに、髪の毛が薄くなってしまっている。

ネットの情報につい乗って、発毛剤を定期的に購入してしまった。

ちゃんとした確証はないのだが、効果があるように思える。

何よりも、長く伸ばしてもまとまりができて、薄さをごまかせるようになった。

そういうことで、私は半年以上散髪をしていない。


髭もあって、髪も長いとなると、それなりにお洒落をしなくてはいけない。

夏場のように、綿パンに半袖の襟付きTシャツでは済まされない。

そこで、お気に入りのデニムジャケットを身につけて、中に着るポロシャツもピンクを着たりした。

すると、女生徒から「今までで一番コーデがいい」と褒められてしまった。

山間部の高校の生徒は人なつっこく、物怖じせず教師の着こなしを評価してくる。

私は初めて生徒からお洒落だと言われた。

そこで、都市部の高校でもどうかと同じ服装で出勤した。

都市部の生徒は挨拶はしっかりとしてくれるが、私にはあまり関わってこなくて、全く反応はなかった。

ところが、職場の知人の女性教師から、山間部の生徒と同じように褒められてしまった。

その方は着こなしに気を遣っていて素敵な方だ。

本当はその方のコーデも評価すべきだったのだが、「若く見せるために」と照れ隠しでただ答えるだけだった。


若いときはお洒落をしなくても、それほどみっともないとは思わないのだが、年をとるとそれなりのお洒落が必要だと気がついた。

まるで、高校時代に戻ったかのように、身なりに気を使い始めた。

以前は晩年の南方熊楠の放埒な容姿を理想としたが、今はジーンズとTシャツの似合う白洲次郎が目標である。

白洲次郎のようにこざっぱりとはできないので、私はあたかも学者のような趣を出したいと思っている。

そういえば、大学院の恩師も長髪だったり、髭があった方もいらっした。

思春期は女性にもてるためにお洒落をしたが、今は貧相に見られないようにお洒落をしなくてはいけないと思うようになっている。

実のならない雄花ならば、せめて花びらを散らすまでは、しっかりと萎れず咲いておくのがお洒落だと自分に言い聞かせている。

まさしく「美しさは生きる力」かもしれない・・・





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