五月の連休の4日は良く晴れたし、潮の状態も良いので、久しぶりにシジミを採りに息子と赤穂まで出かけた。
赤穂の坂越橋を南に少しくだったところには河原に駐車場があって、家族連れなどがよくシジミを拾って楽しんでいる。
私が子どもの頃はシジミはあまり人気が無くて(今でも上郡のような田舎の人には人気がなく、溝の淡水のシジミは誰も食べない)、今日のように大勢の人が押しかけることはなかった。
もっと南の河口付近にある唐船という兵庫県で一番低い山の近くには、昔から潮干狩りをさせる有料の浜があって、私たち地元の子どもは昔は無料で入らせてくれたりもしたのでよく行った。
唐船ビーチは貝を蒔いていて有料だが、自然の貝が採れるところは何カ所かあるのは知っているが、今日は手堅く採れるシジミを掘ることに敢えてした。
場所は人の多い西側の河原ではなくて、東側の河原である。こちらは火葬場が近くにある。駐車場も無いので地元の人以外はあまり来ない。私は車を止められる場所を知っているので、そこに車を置いて、草に覆われた道を下って河原に下りた。
こちら側では中州になったところに一人いるだけで 、誰もいない。川の中に入って掘ってみると、しばらく濁って何も見えなくなるが、一つ二つ大きなシジミが出てきた。
ここは海の水が上ってくるところなので、干潮でないと入れない。引き潮に下る川の水が、濁った水を下流に流してくれて、掘り起こされた貝を露わにしてくれる。人がまだ掘っていないような、青のりの生えた川底を選んで掘ってみるとそこそこ採れた。
さすが清流と言われている千種川の水と、あまり工場のない海の水が混じった所に住む貝はよく育ってでかい。数時間で直径30cm程のざるの底に一杯採れたが、近くで採っていた年配の方は買い物籠にどっさりと採ってこちらに戻ってきた。その中州には人があまり寄りつかないので、貝も大きいし数も多いようだ。
シジミで思い出すのは、子どもの頃に母親や兄弟、近所の人らと一月遅れのひな祭りに、赤穂大橋北側の東側の河原で野遊びとしてシジミ採りに来たことだ。
当時は雛壇を飾る裕福な家はそう無く、ひな祭りと言えば、よもぎ餅にちらし寿司、そして貝掘りだった。
町に住む人は川の中に入って貝を掘って探すだけでも楽しいのかも知れない。田舎に住む私たちは食事のおかずにならないと、無駄な仕事をしたような気分になる。上郡の近所の人の休日の楽しみはパチンコか釣りであることが多い。実益を伴わないと楽しめないようだ。
私は実益の伴わない山登りや、サイクリングもするが、それは気晴らしである。こういう実益を伴う貝掘りは、子どもの頃、生まれ故郷の鳥撫(天和)に父親のバイクの後ろに乗せられて採りに行ったりした。
まさしく世代を超えての、伝統ある実益を伴う遊びである。今日は息子と来たが、はたして孫と一緒に来られる日が来ることやら・・・、それまでシジミが枯渇していませんように・・・
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