近くの田んぼの中で、近所の人が三人じっと何かを見ている。
ピンときた。さっちゃんだ。
自転車で向かおうとしたら、大きな羽を広げて飛び立った。
なんと、二羽もいる。
私は自転車で追いかけていくが、見失ってしまった。
近所の人がカメラを持って川の方へ行くので、たぶんそちらだと向かったが、また飛び立ってしまった。
きつい坂道を、一心で上って、結局元の場所に行くと、高圧線の別々の鉄塔の上に、二羽が休んでいる。
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鉄塔の上の二羽 |
以前に撮影した引き伸ばし写真を二枚もくれた。
近所の田んぼで餌を食べたり、羽を広げている見事な写真だった。
Oさんによれば、一羽は足輪からさっちゃんとわかり、もう一羽はメスだそうだ。
6年前にやってきたさっちゃんが、友達を連れてきたのである。
しばらくは、眺めていたが、じっとしているばかりなので、家に戻った。
裏の畑で黒大豆を収穫していると、近くの鉄塔に二羽が仲良く留まっている。
カメラを持って、農作業をしながら、飛び立つチャンスを待った。
気がつけば、飛び立ったばかりで、あっという間に山の方へ行ってしまった。
写真は間に合わなかったけれど、悠然と飛ぶ姿を眺めることができた。
以前、豊岡の保護センターで、飛び回る姿も見たことがあるけれど、何となく不自然な感じがしていた。
大きなケージの中や、周りを飛び回って、人の世話に依存しているのが歴然だったからである。
本当に自由に飛び回り、自力で餌を探す姿の方が、自然ですばらしい。
確かに、テレビで放映されている映像や画像は見応えはある。
けれども、自分の家のそばを悠然と飛ぶ姿には敵わない。
”さっちゃんが友達を連れてくるような素晴らしいところなのだよ”と自慢したくなる。
ただ、池や田んぼに餌が十分残っているか心配でもある。
鷺や鳶などは、自然に飛び回っているのだけれど、コウノトリは皆が追っかけるので、餌をゆっくり食べられないかもしれない。
現に、スポーツカーに乗った人が大きなカメラを持ってずっと追い回していた。
いつか、鷺や鳶のように珍しくも何ともない存在になってほしいと願っている。
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紅葉した山を背にした一羽 |