我々は今戦争を目にしている。
そこで、実感するのは太平洋戦争で日本が受けた空襲がなされていないことだ。
もし、同じことがウクライナやイランで行われたら、どういう非難を受けるだろうか?
ダニエル・イマヴァールはその著『帝国の隠し方―大アメリカ合衆国の歴史―』(名古屋大学出版会 2025年)の中で次のように述べている。
それはマッカーサーやニミッツが太平洋を急襲する際に用いた「飛び石」戦略に見ることができた。米軍は、連続した地域を奪取していくのではなく、日本軍の拠点を跳び越えて前進したのだ。航空技術がこれを可能としたのである。
それはまた、連合国軍が、日本の主要な島々に足を踏み入れることなく、日本を打ち負かすという並外れたことも可能にした。連合国軍は、グアム、テニアン、サイパン、沖縄、硫黄島の基地を用い、空路で日本の七〇近い都市を破壊した。
飛行機はトラックではなく死をもたらしたが、それ以外はヒマラヤ作戦とあまり変わらなかった。アメリカ合衆国は、小さな島々から、侵攻することなく日本を服従させたのだ【前掲書:258】
著者は航空技術を賛美し、無差別爆撃や原爆投下に触れていない。
歴史家として恥ずべきだと私は思うが、それを書いたらアメリカでは売れないだろうとも思う。
著者の論に従えば、イランを服従させたければ、同じことをすれば良いということになる。
あのトランプでさえ今はやれないことを、ルーズベルトとトルーマンはしたというのが事実だろう。
テレビの報道でもかつて地上戦なしに政権の交代や降伏はあり得ないと解説する人が多い。
その解説の裏には、無差別爆撃や核攻撃があれば別というのが隠されている。
劣勢に立っているウクライナもイランも無差別にロシアやアメリカを攻撃することは避けている。
それをすれば同じことを倍返しでやられることが分かっているからだろう。
日本がアメリカの無差別爆撃を強く非難できないのは、同じことを中国の重慶でも行っているからでもある。
ただ、無条件降伏の後で、その責任はとらされている。
つまり、負けなければ戦争犯罪で裁かれないのだ。
世界に張り巡らした米軍基地によって、しばらくは隠された帝国は維持されるので、裁かれる心配は無い。
トランプは負けない自信はあるだろうが、相手が最後まで降伏しなかったら、戦争犯罪は裁かれなくても、世界からの非難は浴びるだろう。
哀しいのは日本で脅され支配されている米軍基地を、守ってもらっているので安心と言い続けなければならないのだ。
しっかりと、アメリカ帝国は日本を支配できている。