9月5日(土)の午後七時半からNHKで「私たちの中に“古代人類”が生きている?|タモリ・山中伸弥の!?(びっくりはてな)」が放映された。
人類学者の海部洋介氏や篠田健一氏も登場するかなり専門的な番組だった。
しかし、非常に気になったのは、ネアンデルタール人やデニソア人との交雑ばかり取り上げ、交雑では無く、単にDNAが紛れ込んだアフリカ人のことに触れていなかった。
全体的にネアンデルタール人やデニソア人の遺伝子を取り入れることによって、優れたホモサピエンスができあがったというイメージを持たされる構成になっていた。
アフリカ人は最近までネアンデルタール人のDNAを受け継いでいないとされていたが、最近の研究でヨーロッパ人やアジア人の3分の1程度のDNAが発見された*1
しかし、コロナ禍の折にアフリカ人にはあまり広がらなかった理由として、ネアンデルタール人と交雑していないからだとまで言われたりした。
ここで考えねばならないのは、ヨーロッパやアジアでは交雑したホモサピエンスしか生き残れなかったどうかだ
どうもそうでは無くて、交雑した者が多数を占めて自然と混じり合ってしまったのは、アフリカと変わりないようだ
ただ、ヨーロッパやアジアでは交雑した者の方が環境に適応しやすかったので、アフリカよりDNAの比率が高かったと考えられるようだ
アフリカ人にとってはそれほどネアンデルタール人のDNAは生存に貢献していたとは言えないとも言える
それをあたかもネアンデルタール人やデニソア人と交雑したから、ホモサピエンスが唯一生き残れた人類であるように思わせる放送には問題があると思う
それでは交雑があまり意味を持たないアフリカ人に無配慮と言うべきだし、逆に問題を起こしてしまう。
つまり、サハラ以南のアフリカ人へのネアンデルタール人のDNAの影響の少なさが、人種の違いを生んで、場合によって奴隷になったり植民地化されたと解釈されてしまう。
それと、ネアンデルタール人やデニソア人との交雑は対等な関係で行われたかのように描くのも疑問を感じる。
アフリカ人を奴隷として黒人が移動させられたが、アメリカ大陸で行われている混血は、対等では無いし偏りもある。
日本においても縄文系と弥生系の混血に関してもそれほど単純では無い。
一方が戦闘によって奴隷にしたり支配したりしていたり、女性を略奪したり子どもを誘拐したことによって生じた交雑の可能性もある、
また、駆逐された後でDNAが紛れ込んだだけという可能性もあるということだ。
従来のようにホモサピエンスのアフリカ単一起源説への反論であったり、他の人類を駆逐してしまったことを反証する意図はよく分かる。
しかし、アフリカ人への無配慮と、ユートピア的な交雑を描くのは、現代の人種問題に禍根を残すものと思われる。