私は今、高3の生徒の日本史の受験指導をしている。
大学受験では失敗した自分は、受験指導をすることは毎回そのことを振り返ることになる。
40年近く経った今でも、生徒に自分の失敗談を話すことが多いのである。
中学受験も、大学院受験も、教員採用試験も、運転免許も一発で合格したのに・・・
大学受験は現役と浪人二年間で、大道予備校と南山大学の人類学科一つのみしか合格しなかった。
おそらく、他のどの受験よりも労力を費やしたのにも関わらず、希望する大学には行けなかった。
ただ、たまたま合格した南山大学文学部人類学科は大きく自分の人生を変えてくれた。
私は決して研究をしたいとも、教師になりたいとも思っていなかった。
文学に憧れたり、マスコミの仕事がしたかったが、一番やりたいことはバンド活動だった。
とにかく大学に受かりたいと言うよりは、受験生から解放されたかった。
だから、浪人して共通一次元年で不本意な結果となっても、もう浪人は続けたくなかった。
親戚の叔父からも、もう一年頑張ったらどうかと言われても、その気にはなれなかった。
そもそも、新聞奨学生として浪人し始めた時に、住み込みの新聞配達もすぐにやめて、その挫折を味わっていた。
元灘高生や元甲陽高生に混じっての予備校生活も、その長時間の通学で挫折した。
そして、受験自体友達と一緒に旅行気分だったり、下宿に留めてもらうなど安易であった。
それと対照的なのは弟であった。
現役でそこそこの私立大学を合格していたが、国立を目指して浪人した。
親も私の失敗に懲りてか、賄い付きの下宿をさせた。
弟は浪人して見事大阪大学に合格した。
弟は大学卒業後は大手企業に就職したが、その後転職して充実した神奈川県での生活を送っている。
大学受験に関しては、地道でまじめな弟の方が成功したのである。
ただ、この歳になって、余裕のある生活を送っているのはどちらかと言えば自分だろうと思う。
年収は確かに弟の方が上だが、仕事漬けの生活をしている。
持病に関しても私よりも深刻である。
まじめな弟は仕事を生きがいにして生きてきたことだから、不幸では無いと思うが、私から見れば可哀想に思えることもある。
私は大学受験で挫折を味わい、結局望んだ研究職にも就けずにはいるものの、生徒と楽しく関わることが出来る喜びも感じている。
今、真剣に受験に取り組んでいる生徒に、人生という長い目で考えようと言っても無理なことは分かっている。
ただ、失敗しても一生懸命生きていけば、何とかなることも知って欲しいと思っている。
特に、受験のプレッシャーで押しつぶされそうな、君には・・・
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