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2017年2月27日月曜日

梅花に猿

毎年この季節には、御津町の綾部山の梅林へ梅の花を見に行く。
去年は3月3日の平日に、学年末考査中に年休を取って家内と出かけた。
去年はまだ寒くて、梅の花もちらほらだったし、お客さんも少なかった。
今年はもう咲いているというので、日曜日の今日(2/26)に出かけた。
以前なら多くの花見客で渋滞して、休日は避けていたのだが、この頃はそれほど混雑しないという。
今日は姫路マラソンで、人出はこちらには無いだろうとも思った。

昼から車で出かけたが、揖保川に沿っての山越えの道で、全く渋滞も無く、駐車場も全く混雑していなかった。
咲いている梅の花は思ったより少なかったが、気候は山に登るにはちょうど良かった。
一番眺めの良い山の上に初めて上がった。
子供が小さい頃はよく一緒に来て、写真を撮ったりしたが、一番上まで上がったことはなかった。
日曜にも関わらず、お客さんはあまり多くなかった。
聞くところによると、山道が急なので人気が無いのと、近くにも同じような梅園があってそちらに人気を奪われているという。
私たちにとっては、休日でも混雑せずにゆっくり回れる方がありがたい。

今年は猿回しの催しも企画されていた。
山の上からその太鼓の音と、マイクを使った声がよく聞こえていた。
いつもの眺めの良い販売店で、入場券に付いているドリンク券で甘酒を飲んだ。
良い景色を眺めながら、暖かい甘酒を飲むのも毎年の楽しみである。
子供と来ていたときは、弁当持参で、ビールも飲んでいた。
昼時はあちらこちらで、弁当を食べて、賑やかだった。

海側の売店に行くときには、猿回しは休憩中でおやつをもらっていた。
猿はクーラーボックスをのぞき込んで、子供の様で愛らしかった。
引き返すときに、ちょうど太鼓が鳴り出して、本日の最終公演だという。
ゆっくり見せてもらうことにした。
神戸から来ている猿は「はるちゃん」と言い、2歳の女の子だった。
身体は50cmほどで、肩にも乗り、今はNHKのドラマ「精霊の守り人」

にも出演しているという。
猿回しをする芸人さんは、女性で話芸はツボを押さえていて嫌みがなかった。

猿回しの芸はテレビなどでもよく見ていたが、実際間近に見てみるとやはり違う。
猿の表情や、仕草、態度が良く伝わってくる。
特に子供の猿の表情はあどけなくて可愛らしかった。
動物に芸をやらせるのは、大人になって見ると何となく、哀れにも思えたりする。
厳しくしつけられている様子が、いじらしく伝わってくるからである。
ただ、今回は芸人さんが女性で、褒めて上げるのにスキンシップをして上げている。
その様子が、餌で釣られて演技をする、イルカやアシカとは全く違って、微笑ましかった。
最後の心付けを求める言葉も、強かさはあまり感じられなかったのも良かった。

今年は人出が少なくなったので、猿回しを呼んで盛り上げる企画にしたのだと思う。
それも良いアイデアだと思う。
大道芸人が少なくなった現代で、是非どんどん広めて欲しいと思う。
そう言えば以前は、赤穂の義士祭でもやっていた様に思う。
単に鍛えられた芸を披露するだけで無く、動物との暖かさも身近に感じさせてくれる猿回し。
多くの人にぜひ見てもらいたいと思った。

2017年2月4日土曜日

ひとりぼっちのあのこ

今日は朝に会うことができた。
あのこがいないと淋しくて、その日は気持ちがはれない。
一月ほど前までは、ふたりで仲良くいるのがうらやましかった。
雪が降り、氷が池を張りつめて、突然ふたりともいなくなった。
でも、あのこだけは戻って来た。

ひとりになったあのこを、カメラで写す人はいなくなった。
ふたりでいる方が絵になっていたのだろう。
あれ程ふたりを追いかけ回していた、パパラッチも知らん顔である。
私は高圧電線の鉄塔で、気高くひとり立っているあのこに惹かれる。
たったひとりで、寒い冬場の池や田で、少なくなった糧を探しているのだろう。
ひとりでもこの地で、生きていくのだという気持ちが伝わってくる。
今日はあのこがこっちを向いてくれていた様な気がした。

私はひとりぼっちで暮らしていく自信は無い。
あのこを見かける時も、たいてい家のクロと一緒だ。
ひとりでもたくましく羽ばたいているあのこを見ると、こっちの方が弱々しく思える。
こんな私でも、むかしはひとりで南の島に何ヶ月も出かけていったのだ。
最近は心まで老いぼれてしまったのだろうか。
あのこの白くて大きな翼を、いただきたいものである。
そう言えば私がよく行った南の島ではこういう歌があった。

八月やなりゅり 飛羽(ツビバネ)やねらぬ うつじや片羽(カタバネ)貸らちたぼれ

後日談
私は残されたコウノトリはてっきり雌の「さっちゃん」だと思った。
機会があって、パパラッチさんに聞くと、雄の方だという。
雌の方は先に豊岡に戻っていて、飼育員から連絡があったという。
その後しばらくして、雄の方も豊岡に戻ってきたという。
「あのこ」とは彼女に取り残された男で、「あのこ」ではなく「あいつ」というべきで。
まさしく「ひとりぼっちのあいつ」Nowhere Manであった。