イルカと書けば、無骨な私には不似合いだ。
いっそ蘇我入鹿の名前を借用しても良いが、体型は海の豚なのである。
海が大好きな私には、海豚が相応しい様に思う。
定時制の高校に勤め始めて、殆どしなくなったのが水泳である。
長いことやっていた水泳部の顧問が、出来なかくなったのが関係している。
定時制には運動系のクラブとして、バドミントン、バスケットボール、柔道しかなかった。
水泳の経験者が入学すれば、水泳部を作りたいと思っていた。
単なる趣味と健康で始めた水泳なのだが、上郡高校で顧問をやり始めてからずっと練習を自分でも続けた。
マスターズの大会に参加したり、スイミングスクールに通ったりもした。
それは顧問として専門性を高めたいということと、生徒と一緒に泳ぎたかったからだ。
赤穂高校の全日制に勤めるまでは、上郡のB&Gプールの年間使用券を持っていた。
赤穂高校は赤穂の市民プールを無料で使わせて貰えるので、生徒と一緒に冬場は泳いだ。
個人的に泳ぎたい時は、上郡や相生のプールの回数券を買って泳いだ。
退職したのをきっかけとして、何年かぶりに上郡プールで年券を買った。
18000円と以前より倍近く値上がりしていて驚いた。
プールの管理やスクールの指導をする業者が今年から変わって、雰囲気が一変していた。
コーチは若い男女二人を除いて、腹の少し出た中高年の男性だった。
そして選手コースには、選手がいなかった。
聞くところによれば、前の業者のコーチについて辞めたそうである。
水泳では良くある話なのだが、全くゼロになったというのは驚きである。
因みに昨年は全国大会にも出場する選手がいた。
泳ぎ自体は、昨年度一年の間に数えるくらいしか泳いでいなかったので、自分でも情けない泳ぎになっていた。
専門のバタフライが、25mなのに2本目で腕が上がらなくなってしまった
クロールも50mを1分サークルで5本しか出来なくなっていた。
トータル3000mは軽くこなせていたのに、2000mも泳ぐとへたってしまった。
そもそも、アップのSKPS800mで体力を失った感もある。
こんな情けない状態でも、慰めてくれるのはプール仲間である。
高橋さんは元国体出場のスキー選手だが、体力維持と健康をかねて水泳もしていた。
彼は画家でもあるが、今は年金暮らしの自給農家になっている。
高橋さんに泳ぎを手ほどきした方だが、慰めてもらう立場になってしまった。
プール仲間は沢山いたのだが、その仲間も数人に減ってしまった。
今日も帰り際の仲間に、家島で開催されるオープンウォーターに出場することを誘われた。
高橋さんに聞くと出場しないという。
彼は競技としてはスキーで十分で、水泳は競技にしたくないという。
レースは確かに励みになるが、故障するリスクも増える。
この歳になれば、楽しみながら泳ぐ方があっているかなと思った。
本物のイルカは演技させられるが、犬の様にレースはさせられない。
水の中なので見ていても面白くないからだろう。
イルカは遊びが大好きで、人とも遊んでくれる。
私は人と競うより、プールや海、川でイルカの様に遊んだり、食べたりしようと思う。
暖かくなれば、SUPも再開だ。
いずれはウェットスーツの良いのを買って、冬場も海に行きたい。
この海豚も生まれ育った海で、暮らしの糧を得たり、遊ぶのである。
ただ、若い選手と一緒にまた泳いでみたいと、ひとりで練習に来ていた高校生くらいの選手を見て思った・・・