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2018年4月23日月曜日

喫煙者の行く末

最近、喫煙の危険性をそこに含まれる化学物質から説くことが多くなった。
その化学物質が服に付着すると、周りの人に影響を与えるので、喫煙後30分以内はエレベーター乗られないところもあるという。
ここまで、その危険性を主張されながらも、同じ職場でも喫煙者は少数ながらいる。
また、生徒の模範となるべき学校の教員などにも、少数派ながらいることも確かである。
かく言う、自分自身も実は子供が生まれるまでは、煙草を吸っていた。
特に煙草をよく吸っていたのは、大学院時代で論文を書く時には、一息つくための煙草が普通だった。
大学の教員の中には、講義の最中も煙草を吸い続けられる人もいた。
それは有名な文化人類学者だったが、何年か前にその話題を研究の集まりで話したら、いまは禁煙しておられると言っていた。
それ程、私たちが若い頃は煙草に対しては寛容であったし、男性は煙草をたしなむのが普通というのが実情だった。

私は煙草の危険性を知り、子供に被害を与えないために、家内の妊娠をきっかけに禁煙を決意した。
といっても、一時はパイプや葉巻、缶ピースを愛する程だったので、止めるには相当苦労した。
特に、飲み会では我慢できずもらい煙草をよくした。
ただ、どちらかというと、煙草の香りを楽しむ方だったので、ニコチン効果への依存性は低かったように思う。
喫煙を止めてからしばらくすると、煙草の香りそのものも嫌いになってしまった。

先日、私たち夫婦が一緒になって、子供が幼稚園に入るまで暮らした借家の大家さんに会った。
私の遠縁に当たる大家さんは、74歳のおじいさんになっていたが、見た目より老けて見えた。
話を聞いていると、胆嚢摘出としていろいろな病気を患ったことを知った。
極めつけは、心筋梗塞でステントを5カ所も入れているという。
その病気の理由を喫煙だという。
そういえば、借家の壁や戸には煙草のヤニがいっぱいこびりついていたのを思い出す。
ガラスなどを濡れ雑巾で拭くと、雑巾が茶色に染まった。
喫煙は人によっては老後にこれだけの苦難を与えることを身近に知ることとなった。

そもそも、ウィキペディアによれば「ニコチンには「脳波覚醒」「学習行動における正確さの上昇などの中枢興奮作用」「攻撃行動の減少」といった精神安定作用が確認」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%81%E3%83%B3
ということが医学的に言われているという。
以前は研究者などが、煙草を吸い続けていたのもその効果を得るためであろう。
研究者でなくても、その効果が仕事の励みになっていたことも確かだ。
現在でも建築現場で働く人は休憩の時には煙草をよく吸っているようだ。
また、禁酒の代わりに、煙草を多く吸う人もいる。
将来の健康のリスクを負ってでも、ニコチンに依存せねばならない人もいることは確かだ。

考えてみれば、煙草ほどの健康被害ではないにしろ、酒、砂糖、塩などにも依存性があり、取り過ぎは健康を害する。
酒税は今でもあるが、他もかつては国家の税収にもなっていた。
法律で禁止されている麻薬と違い、税収となる依存性がある品物は、ある意味で国がお墨付きを与えているのと同じである。
深読みすれば、健康を害して病院に行くようになれば、病院を通じての景気効果につながるから悪くないと言えるのだろうか。
病気に苦しむ喫煙者やその副流煙での被害者は、現代の経済システムの一部に組み込まれていると言うべきなのだろうか。
そして、酒による肝臓障害、砂糖と関わる糖尿病、肥満、塩と関わる高血圧等も同様である。
ストレスの多い勤労者に必要な、煙草、酒、砂糖、塩は近代社会の必需品なのかもしれない。
ということは、近代化された社会と一定の距離を保った生活が、その依存性からすこしでも逃れることができる。
そう言いつつ、酒が身近にある私がそこにいる・・・





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