私が住んでいる村には、村の人が土地を寄付して作られた健康広場がある。
村の人の健康のためと、車社会になって道で子供が遊ぶと危険だから作られたようだ。
子供のためのブランコや滑り台があったが、ブランコは劣化して取り外された。
勿論、村にはそこで遊ぶような子供は既にいない。
近くの村では遊具は全て撤去され、駐車場にされたりしている。
以前は老人が元気で、ゲートボールをしていたが、世話をする人がいなくなって、とっくに使われなくなっている。
そのご老人のために作られたトイレは、誰も使用せず維持費と管理が負担となっている。
だから、老人は維持管理がいらない小学校の運動場を休日に借りて、グランドゴルフを楽しんでいる。
この健康広場は夏休みには、小学生のラジオ体操に使われたが、今は行われていない。
村の行事としては、盆踊りとトンドに使用されたが、盆踊りはコロナの時に中止されて、今年納涼祭として復活する予定だ。
それは、以前は踊りの主力となっていた婦人会が解散してしまい、踊りの主力を欠いてしまったので、踊りができないからだ。
果たして、これが今後維持できるか見通しも立っていない。
唯一、トンドには欠かせないのだが、他の村では個人の田んぼで行っているのが多く、十分田んぼで対応できる。
ということで、この健康広場は殆ど役に立っていないのである。
ところが、草だけは春から生え始めるので、5月から10月頃まで、二つの班に分かれて毎月草刈りにかり出される。
7月は盆前でもあって、村の組(小字)の各家から一人ずつ駆り出される。
ところが、以前は草刈りの後で、墓地の草刈りをしていたのだが、暑いことや人手が足りず、広場の草刈りと同時にするようになった。
墓地には、村全員が墓を持っているわけではなく、村外の人の墓も残っている。
今年はそこに、主力の人員を割かれた形で、健康広場の草刈り作業が行われた。
そうなると、主力でない後期高齢者が健康広場には多くなり、60歳代以下の者は数人で、熊手の女性も多い。
なかには90歳近くで家の庭の草さえも刈れないご老人も、熊手を持って参加している。
80歳以上でもゆっくりと草刈り機でやる人は良いのだが、その熊手のご老人は大きな桜の木陰で立ち尽くしたままである。
作業に出ないからと、出不足金を取られるわけではないので、出てこなくて良いはずなのだが、やはり世間体が悪くて出てこざるを得ない。
もちろん、そんなことお構いなしで、若くても出てこない人もいるのだが、今までの付き合いの良かった人は、そうして出てくるのが普通だ。
私は、80歳以上は免除させてあげたらと、提案したのだが、そうすると人手がなくなると一蹴された。
また、腰痛に苦しんでいる70歳代の人も、無理して出てきて次の日は一日動けなかったどうだ。
特にこの暑い7月は午前8時から始めても、汗まみれになってしまう。
私は冷却ベストと空調服で作業をしたが、殆どの人はそんな格好はしていない。
どういうわけか、パチンコや釣りでけっこう金をつぎ込んでも、そういうものには金をかけない。
やはり、高齢の人は適当に作業した後、まだ終わってないのに途中でやめて立ち話をして休んでいる。
高齢者には酷だと分かっていても、懸命に作業を続けている者にとっては、目障りに感じてしまうのだ。
この不健康極まりない村作業は、どこの村でも負担となって、自動走行の草刈り機や、トラクターにつけた草刈り機を用いているところもある。
時給1000円の時代に、平気でただ働きさせられる村作業を維持しているのは、時代遅れに感じていしまう。
しかし、改められないのが村であり、新しい意見を聞く耳も持ってくれないのも村である。
もう10年もすれば、おそらくこんなやり方はできなくなるだろうが、できなくならないと改められないのも村である。
健康広場はもはや不健康広場となったが、今後もっと過疎と高齢化が進み、いずれそこいらにある竹藪のようになってしまう日がくるだろう。
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