最近ネット情報などでは、日本人に合った食生活というようなことが、大きく流されている。
ゲノムの論文を読んでいると、日本人は思ったよりかなり多様性に富み、縄文系とか、弥生系だけでは済まなくなっているようだ。
それは、日本人の以前の二重構造説から三重構造説に変わってきていることからも分かる。
しかし、この考え方も疑問が多く残る。
まず、第一に縄文人は均質では無かったという説が最近有力になっている。
たまたま、貝塚で発見された人骨のDNAだけで、縄文人を判断するのはまずいと思う。
弥生人もかなり多様性を持っていることが分かっているし、その後の古墳から古代にかけて渡来した人たちは、かなり多種多様である。
中世以降の食生活は、日本人の中でもいろいろな生業形態で違っており、米だけに決して頼っていたわけでは無い。
そんな日本人が食生活を一変させたのは、戦後だと思う。
特に学校給食は、パンや牛乳を大きく普及させ、米の消費を減らすことに貢献した。
まさしくアメリカの思うつぼなのだが、アメリカの食文化を多く取り入れた食生活に大きく変化したことは確かだろう。
一番極端なのは、沖縄で米軍の食文化の波を被って、健康県から不健康県へと成り下がった。
沖縄では、旧石器人(hpRyukyu)や縄文人(hspOkinawa)から受けついだらしいピロリ菌が幸いして、胃がんが少ないというのに、近年の肥満が災いしているようだ。
奄美は、健康で長生きのイメージがあるが、戦後主食がサツマイモから米に変わってかなり変化している。
食生活は豊かになったようだが、健康に問題を抱えることが多くなったようだ。
地域の自然環境などで、その食生態にあわせた身体ができてきたのに、食生活を急激に変化させれば、健康を害するのは当たり前である。
論文によればガンなどもその影響を受けているようだ。
一括して日本人とせずに、これからはDNAの型によって、どういう食生活がふさわしいかを示すのが本来の医学だろう。
それによって、徐々に普段の食生活を変化させていくのが、健康促進になると思う。
健康食品やサプリの宣伝で危機を煽ったりする商法に、きちっと対応した情報を医学界は報告すべきだと思う。
ただし、病気がなくなってしまったら病院は不利益になるので、ゲノム研究は医学以外でももっと研究する方が良いかもしれない。