赤穂の海岸近くには野良猫が居着いている。
決して、打ち上げられた魚を拾ったりするためではない。
餌を持ってきてくれるのをあてにしているのだ。
先日は見晴らしの良い赤穂御崎の海岸公園で散歩していたら、猫の鳴き声が聞こえてきた。
そして、しばらくするとおじいさんが自転車に乗ってきて、その猫にメザシらしき物を与え始めた。
どちらかというとみすぼらしいおじいさんは、わざわざ坂道を猫のために上ってきたのだ。
これはここだけで無くて、赤穂の唐船海岸でもおばさんが餌を与えているのを見かけていた。
そして、餌をやらない私にまで、近づいて鳴きながら餌をねだってきたりした。
家で猫の飼えない人には、こういう猫とのふれあいが楽しいのかなと思う。
私は猫に好かれるタイプで、村落調査などではそこで飼われている猫がよく膝の上に乗ってきた。
実は、私が幼い時に船に乗せられて生活した頃は、猫が船で飼われて共に暮らしていたのだ。
猫も飼いたいと家内に言うのだが、部屋を片付けるのが先だととりあってくれない。
近所でも猫はいるのだが、決して人に媚びないし、犬の散歩中では天敵だ。
クロが見つけると追いかけて猛ダッシュしてしまう。
そのために握っている引き綱で制止するのに、どれだけ痛い思いをしたか分からない。
先日も、池のそばの茅の叢の前で、猫が座ってじっと眺めている。
こんなところに餌など落ちていないのに何をしているのか、遠くを散歩しながら眺めていた。
しばらくすると突然草むらに飛び込んだら、ヒヨドリが飛び立った。
鳥を狙っていたのだ。
夏に虫を捕って食べている猫を見かけたりしたが、鳥を狙う野良猫を見るのは初めてだった。
因みに、トラも雀などの幼鳥を狙って成功することがある。
散歩の途中でいきなり道ばたのヒバリをしとめて食べてしまった。
口元を見ると可愛い鳥の足が見えたので、哀れに思った。
餌をちゃんと与えているのに、野良犬時代の味が忘れられないらしい。
餌を与えて貰える街の野良猫と違って、田舎の野良猫は自立して生きている。
今は野良犬がいないので、昼間は野良猫の独断場だ。
時に、人が田畑に捨てた残飯を漁ったりしているが、本命は草むらや田畑に棲む小動物や昆虫だ。
それは野生の狐ともかわりはないが、狐は昼にはさすがに活動していない。
人に媚びることなく、たくましく生きていて、同じ猫を何度も見かけることも多い。
私もこの逞しい野良猫を見習って、すこしでも自立して生きていこうと思っている。
これからは、野良人だと言えるくらい逞しくなりたい。
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