とうとうアメリカのトランプとイスラエルのメタニヤフがイランを奇襲攻撃した。
奇襲攻撃自体は多くは成功する、その典型的な例が日本の真珠湾攻撃だ。
これは実はエマニュエル・トッドの受け売りだ*1。
このところ、このブログ「播磨のしっぽ」のアメリカからのアクセスが非常に多いのが気になっていた。
それまでは香港とかシンガポールが多かったのだが、そちらは減ってあまりなかったアメリカが増えた。
理由を考えたが、高市総理関連の政治問題もさることながらエマニュエル・トッドをよく引用しているからだと思う。
エマニュエル・トッドは特に「西洋の敗北」世界の多くで翻訳されているが、英語での翻訳は無いそうである。
だから、それをよく引用するブログに関心がいったのだろうと思う。
トッドはソ連の崩壊を予言したことで有名になったが、今回のイラン攻撃に際しても予言している。
リビアの政権はカダフィの死によって崩壊し、イラクの政権もサダム・フセインの軍事的敗北によって崩壊しました。しかし、いずれもアラブ諸国の特徴として、「脆弱な政治システム」しか有していなかったのです。ベルシア系でシーア派のイランは、これとは根本的に異なる社会です。仮にハメネイ師が暗殺されても、イランの国家体制が崩壊することなどあり得ないのです[E,トッド2025:199]。
この論考「7 危険なのはイランより米国とイスラエルだ」の初出は2025年の「イランの核武装は何の問題もない」であって、現在の実際のイラン奇襲攻撃の前だ。
仮定されたハメネイ師は現実に爆殺されてしまったが、トランプの思惑通りに事が運ぶのかどうかが疑問視されている。
また、トッドは以前のイランへの攻撃に関して次のように述べている。
米国とイスラエルには、合理的な戦争の目的などなかった。戦争への嗜好、暴力の追求、つまりニヒリズムに突き動かされた暴発的な行動で、戦争自体が戦争の目的だったのです。ウクライナ戦争でロシアに敗北して傷ついた米国が、ロシアより弱い国を攻撃することで、精神の均衡を保とうとしている。そんな風にしか見えません[E,トッド2025:196-197]。
トランプもメタニヤフも自分の保身と満足のために、戦争利用しているだけで、核保有問題は本質では無いという解釈ができるだろう。
そのせいで、ガザで多くの市民が殺され、今回もイランで多くの市民が犠牲になることが予想される。
トッドは人類学者らしく、イランの家族や親族の問題からイランの政治組織を分析しているし、イラン革命の本質は「民主化革命」だと喝破している。
日本の近代化(欧米化)を天皇を中心に成し遂げたことを考えると、イランの近代化もそれに似ているのである。
それを考えれば、日本は天皇を利用されてうまくいったのだから、イランもハメネイ師を利用した方が良かったように思える。
日本は原爆で息の根を止められたが、さすがにイランには使えないのでこういうテロ攻撃になったのであろう。
奇襲攻撃をした日本が崩壊したようにアメリカやイスラエルが崩壊するのか?
これは奇襲選挙を行った高市総理にも通じることだろう。
賭けるとしたら私はトッドに賭けるだろう。
*1 エマニュエル・トッド 2025『西洋の敗北と日本の選択』文藝春秋[E,トッド2025]