4月になって初めて上郡のプールに行った。
去年買った年券は既に期限が切れていたので、利用券を1枚買った。
これから先、あまり利用できそうに無いので、年券も回数券も買わないことにした。
プールにはいつもの二人が、練習をしていた。
その一人、M氏はこのプールの主のような人で、私がここで泳ぎ始める以前からの利用者である。
その前は、町の職員としてこのプールの管理をしたり、指導をしたりしていた。
今は3年程前に早期退職して、ほぼ毎日泳ぎに来ている。
私も、去年は再就職する前では、同じように毎日のように泳ぎに来ていた。
考えてみれば、当時から顔なじみの人は数人しかいない。
受付の人も、監視員も、そしてスイミングスクールのコーチも変わってしまった。
スイミングスクールは町と契約して請け負っているが、よく業者が替わる。
そして、去年から新たに入った業者は今年も継続しているが、顔なじみの若い男性コーチは1年で辞めてしまったそうだ。
私は、最初は相生のプールで泳いでいた。
子供がそこのスイミングスクールに通っていて、その傍で泳いでいた。
20年程前に上郡高校に赴任し、水泳部の顧問となって、上郡のプールを冬場に利用させてもらうようになった。
子供も相生のスイミングスクールから上郡のスイミングスクールに替わり、スクールとも良いお付き合いをさせてもらった。
M氏とはその頃からのお付き合いで、一緒にマスターズチームに所属しレースに参加していた。
その後、私は兵庫県立大学附属高校に替わり、そこでも水泳部の顧問として上郡のプールも利用させてもらった。
顧問としてのプールの利用をしなくなっても、たびたび泳ぎに来ては元気な仲間に会うのが楽しみだった。
そんな仲間も一人減り、二人減りとなって、知った人が4~5人となってしまった。
その間にもスクールのちびっ子たちはどんどん成長し、巣立っていった。
中には近畿大会や全国大会に出場して活躍した選手もいる。
また、M氏の息子さんのように、就職した後でも毎日泳ぎに来ているスクールの選手の卒業生もいる。
彼とも時々プールで会って、そばで泳いだり話をするのが楽しみだ。
本当はかつて世話になったコーチなども会いたいのだが、会えないのが残念だ。
泳ぎ疲れて、プールのスタート台下で水面をながめながら、かつての様子を思い出すことが多い。
色んな風景が蘇る。
プールの中の風景は昔と同じままだからだ。
そうしながらふと思ったのは、自分たちはこのプールの主のような存在なのかなと言うことだ。
池や沼の主のような鯉やウナギのように、長くそこに生き続けているのが自分たちなのかなと思う。
稚魚たちは川をつたって、大海に出て行く。
年老いたり傷ついたものはいつしか消えていく。
残った池の主である魚の主の中の主が、M氏なのだろうと思う。
いつか、かつての選手たちが、子供を連れてやってきてくれるかもしれない。
長く同じプールでそれを楽しみにしているのが、私たちなのである。
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