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2018年5月6日日曜日

里の大木

日曜朝の所さんの「目がテン」は大好きな番組で、いつも録画して見ている。
特に科学者による、里山復活プロジェクトは役に立つので楽しみにしている。
先日の番組テーマは「巨木」だった。
その中で、巨木は原生林では存在しにくく、里に多いと言うことは目からうろこだった。
つまり、自然界では特殊な条件を持つ屋久杉は別として、自然淘汰で古木は失われるということだ。
里で信仰の対象となり、巨木になるまで守り続けられるそうだ。
巨木は地上から約130cmの位置での幹周が300cm以上の木だから、私の村には大木はあっても滅多に巨木は無かった。

私が上郡のこの村に25年程前に移り住んだ当時には、村の中に大木が存在した。
実は、私の家を建てる時に、隣の庭にあった大木が一本切り倒された。
巨木は隣家の私の家を建てる妨げとなっていたからである。
私が購入した土地は、かつて宅地だったが、長い間空き地になっていたという。
別に信仰の対象では無かったが、放置した木は大木になっていた。
一本だけ直径1m程の巨木らしき木があった。
近くの竹林の中にあり、その木には鳥たちが集まっていた。
しかし、根が張り、道路をでこぼこにし始めたので、切り倒されてしまった。
切り倒された切り株の大きさを見て、その木の大きさを思い知った。
それ以来、美しい鳥の鳴き声は近くでは聞こえなくなった。

私の住む字の象徴的な大木は、文殊さんと呼ばれるほこらの傍にあった木で、そこは村作業などで集まる場所になっていた。
また、鳥だけでなく、クワガタムシなどがよってきていた。
落雷にも耐え、長い間その土地の持ち主の腰の曲がったおばあさんが落ち葉を拾っていた。
そも世話も大変で、大木自身がいつ倒れるかも知れない状態になっていたので、枝を切って殺してしまった。
持ち主は神主さんにお祓いをしてもらった後、植木屋さんに処置してもらった。
今は、名残の幹だけが電柱のように立っている。
世代を超えて守られてきた大木は、今の時代にはそぐわなくなっているようだ。
今の時代は高圧電線の鉄塔が、一番空に近い存在になっている。
そして、村在住の鳥以外にも、村にやって来るコウノトリや鷹の居場所にもなっているのである。
人も鳥も時代と共に生きていると言うことだろう。
いずれ家の庭木や生け垣もなくなり、鳥や虫が寄りつかない場所になってしまうのかも知れない。



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