秋祭りのあるこの季節は、子どもの頃には必ず母が甘酒を作ってくれた。
今のように保温する電気器具も無く、電気炊飯器も保温機能が付いていなかった。
だからご飯を木製のおひつに移して、米麹を入れてしかり混ぜるのだが、私はその仕事を任されて、子どもとしてはしんどい作業だった。
そのおひつは毛布や布団にくるんで、できれば電気コタツのそばで温めておく。
数日するとあの甘酒独特のいい香りがして、それを鍋で炊いて飲ませて貰った。
しばらくすると甘酒も酸っぱくなって、不味くなってしまったが、子どもの頃にはおやつなどあまりなかったので、滅多にない美味しいおやつであった。
最近は発酵機能が付いた電気製品が多くあるが、今私が主に使っているのはソイリッチだ。
素材をスープ機能でペースト状にして、乾燥米麹を加えて発酵機能でしばらく置いておくと美味しい甘酒が簡単にできるからだ。
今まで甘酒にした材料は、白米、玄米、大豆、小豆、精白もち麦、ダイシモチ麦、ジャガイモ、コウリャン(ソルガム)、そしてサツマイモだ。
ところが、サツマイモは米麹を用いなくても甘酒風の乳酸飲料ができることを初めて知った。
面白いことに奄美でも八月の行事には本土の甘酒に似たミキが作られて飲まれていた。
実は奄美の与路島に村落調査で通っていた頃に、神人行事などでミシャキ(ミキ)が用いられているし、八月行事でも家庭で作っている人もいた。
本土のような清酒なら酔えるので飲んでも良いと持ったが、アルコール分はなさそうなので、あえて飲ませて貰わなかった。
今は米とサツマイモや砂糖を用いて作るもので、古くは噛み酒であったという。
甘酒のように米麹は使わないで発酵させるので乳酸飲料に近いが、最近は健康食品としてペットボトルや紙パックなどで売られている。
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