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2019年1月13日日曜日

空に飛行機

私がクロと朝散歩に行く時間は、この頃大体決まっている。
冬になって、起きる時間か遅くなり、NHKの「まんぷく」を見ながら朝食を済まして、その後散歩に出かけるからだ。
そうすると、途中で必ず、低空飛行の飛行機にであう。
これは、たぶん岡山空港に向かっている飛行機だと思う。
最初にANAを見かけて、その後にJALを見かける。
低空で飛ぶ飛行機以外にも、空高く多くの機影を見かける。
それらの飛行機は全てが、西に向かって飛び去るのである。
上郡の上空は西行きの飛行機が、通過するルートになっているようだ。

以前ならあまり気にしなかったのだが、甥っ子がパイロットになってからは気になるようになった。
そして、その甥っ子の結婚式に久しぶりに、飛行機に乗って沖縄に行き、飛行機を身近に感じるようになった。
大きく見えいる飛行機を見ながら、あの中では乗客があの日の自分たちのように過ごしているのだなと思ったりする。
おそらく着陸態勢に入っているので、下の風景も大きく見え始めていると思う。
沖縄から帰る飛行機で、神戸空港付近に近づいてきた時の様子を思い出す。
夕闇の中で淡路島や明石大橋、神戸港付近の様子が、町の灯と共に浮かび上がっていた。
空から眺める風景は、もし自分が死んで空に昇っていく時の風景なのだろうとも思えるのだ。

私はユーミンの「ひこうき雲」という曲が好きで、ギターを弾きながらひとりでよく歌った。
空に思いを押せる気持ちは幾つになっても変わらない。
そういえば、私が大学院時代、絶望のうちに死にたいと思った時に、研究室の先輩から聞いた話がある。
その先輩の友達で自殺した仲間がいた。
その人はずっと気球に乗りたいと思い続けていた。
そして、本当にその夢を叶えたら、もうやることが無いと自殺してしまったそうだ。
その先輩から「おまえはまだ夢を実現していないので、死ねないよ」と言われた。
確かに、その時の自分は死ぬことを、自分に納得させることさえできなかった。

前のブログで紹介した「旅する先生」も、漫才師の夢を失った時に自殺しようとしたという。
そして、ためらううちに、その時たまたま届いたメールによって、死ぬことを思いとどまったという。
そのメールの送り主は、旅で出会ったゲーム好きの引きこもり少年から、就職したことを知らせるものだったという。
その時、彼は自殺する理由を失ってしまったようだ。

地上に這いつくばって生きている人間は、空に美しい死の憧れを持つのかも知れない。
死と隣り合わせの飛行機は、まさしく遠い世界へ誘う憧れである。
私は拾い食いをする愚犬クロに、引きずられながら毎日空に憧れている。
ただ、まだ死ぬのにふさわしい夢は叶えていない・・・



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