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2025年8月17日日曜日

ネズミ、恐るべし

 私は奄美の与路島に村落調査に行っていたとき、教員住宅に長期滞在させてもらったことがある。

墓場の一角にあった当時の教員住宅は、作りも古くネズミがよく出没した。

下手に食べ物を置いておくと囓られてしまい、固形石けんまで囓られていた。

そこを毎日訪ねてきた地元の友達がいたのだが、彼にそのことを話すと「ネズミが聞いているから、言わん方が良い」と諭された。

つまり、ネズミが人間の言葉を理解して、悪口を言っていたら仕返しをするという意味だった。

私たちの感覚では、害になるネズミは即刻駆除というものだが、シマの人の感覚は恨みを買うと不味いというものだと思った。

実は、ネズミは場合によってハブを呼び込んでしまうので、軽視できない存在だったのだ。


周りが農地の上郡の私の家でも時折ネズミが出没して、それを駆除したり追い払うのに苦労している。

ネズミが嫌がるという音や光を発する装置を付けているし、天井を走り回るときには嫌がる匂いの忌避剤や殺鼠剤を置いたりもする。

効き目があるのは一時で、直ぐに慣れられてしまうので、結局は捕まえねばならない。

大きなネズミの入り口は換気扇で、うまくこじ開けて入って来るので、対策をしようと思っていて忘れている。

ハツカネズミほどの小さなネズミは、玄関や窓の隙間が開いていればいつでも入れる。

駆除する方法は粘着トラップだが、そう簡単にはかかってくれない。

まさしくネズミとの知恵比べで、警戒されないように上手に餌などを置かねばならない。

大物がかかったらかかったらで始末が大変で、チューチュー鳴いているのを粘着シートをたたんで持ってゴミ袋に入れねばならない。

大概はその仕事は私の役割なのだが、家内にも先日やってもらったら嫌そうだったがちゃんとできた。


今回も連続して大きいのを2匹捕まえたのだが、問題はそれで解決しなかった。

どういうわけか、ガスコンロの一つが着火しても直ぐに消えてしまう。

家内が下を覗いたら、安全装置の線が切れているという。

どうも、ネズミに囓られたらしい。

食べられもしない細い銅線を囓るなんて嫌がらせか、ただの遊びか。

多くある線の二本しか囓られていないので、匂いがするので囓ったが食べられなかったと言うだけかもしれない。

とにかく修理に出したら手間と費用がかかるので、私が直すことにした。


その囓られた線は非常に細くて、釣りに使うハリス程度なのだ。

銅線のカバーをライターで焼いて剥がして、少し出た銅線を繋ぐのはかなり難しい。

二つの線を上手くねじれないので、テープの代わりに絆創膏を使って止めて置いた。

しばらくはそれで持っていたのだが、しばらくつすると熱で緩んだらしく、またつかなくなってしまった。


今度は家内に手伝ってもらうことにした。

以前手芸のビーズをしていたので、手先が器用だと思ったのだ。

今度はしっかりと銅線を捻ることにして家内にやってもらったのだが、どうもうまく繋がらない。

間違った線に繋いだのかと思ったが、交換してもうまくいかない。

見ていて捻り方が気になっていたので、私が頑張って捻ってみた。

そうしたらうまく行ったが、本来は線を交差して絡ませねばならないのに、家内は線を平行のまま捻ってしまっていたのだ。

こういう電線関係では私はプラモデルのモーター関係で扱っていたのだが、家内にはその経験が乏しかったのが悪かったらしい。

これで面目躍如だが、家内の手先が器用という評価が下がってしまった。


とにかく、自分で修理できたから大した被害とは言えないのだが、もし修理に出さねばならない状態だったら大変なことになっていた。

そういえばネズミにガス管を囓られて事故になったケースも以前はあったように思う。

今はヒューズがついているので大丈夫だと思うが、何をしでかすか分からない大変な相手であることに違いない。

私は常々、ネズミ対策に猫を飼いたいと言っているのだが、家内はその前に部屋を綺麗に片付けてちょうだいと言って了解してくれない。

私は猫を飼うことを決めたら部屋を片付けると言っているのだが、家内は自分がやらされると思っているようだ。

ただ、最近の猫はネズミを捕まえてくれないそうなので、決定的な対策にならないかもしれない。


現代では野良猫や野良犬がいなくなっても、このネズミだけはいなくなりそうに無い依然恐るべき動物だ。

ディズニーランドのミッキーやトムとジェリーのジェリーは人気あるキャラクターなのだが、それらは欧米文化の流れにある。

東アジアや日本では干支の一番となっている食わせものであるし、ドラえもんの耳を囓ってしまった手強い相手なので、猫の方がキャラクターとしては人気がある。

そう言いながら、私は子どもの頃には白いハツカネズミやハムスターを飼っていたこともあって、ネズミそのものを毛嫌いしているわけでは無い。

要するに、家に寄生して害をなすネズミに敵意を感じているのだ。

さすがに毒ヘビは家の中に入ってこないので、当時の与路島の人のように深刻に扱うことはしなくて済んでいる。






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