義母の49日の法要を、お寺で行った。
岬の崖の上にあるお寺は、海岸から急な坂を登った所にあった。
ご住職の都合もあって、午前中は無理で13時過ぎから行われることとなっていた。
その後で、納骨もする必要があったし、遠くから来る人のことも考えて、一番暑い時間帯を選ばざるを得なかったのだ。
当然、お寺にはエアコンは設置していない。
扇風機が何台も置いてあるが、風が届かない人もいる。
私は扇風機のそばにいたのだが、汗が止まらなくてずっと顔を拭い続けていた。
一番熱い思いをしているのは、ご住職で何枚もの着物を重ねられている。
その姿を見ていると、誰も暑いとは言えなかった。
苦行となった法要も終わって、いざ墓場に向かうこととなった。
靴を履いた一人の男性が片方の靴底が剥がれたという。
靴は本堂の階段に陽ざらしのまま置いてあったのだが、熱で接着剤が溶けてしまったらしい。
片方の靴底を剥がしたまま、急な坂道を降りねばならなくなった。
そして、そのまま墓場の納骨に臨んだが、納骨が終わったときには両方の靴底が剥がれてしまっていた。
お骨の納骨の儀式も最後の焼香ということとなった。
すると、こんどは私の息子の片方の靴底が剥がれている。
地面が熱くてやはり、接着剤が溶けてしまったらしい。
たいして歩くことは無いので、用心しながらそのまま履き続けざるを得なかった。
私はお寺の坂や、墓場のことを考えて黒のウォーキングを履いていたので、難を逃れることができた。
この時に参加した男は四人いたのだが、難を逃れた私はウォーキングシューズで、跡取りの喪主は白のスニーカーを履いて無事だった。
どちらかというと、ちゃんと黒の革靴を履いていた二人が難に遭い、礼儀に反する靴を履いていた二人の方が難を逃れることになったのだ。
ただ、家内の実家に戻って靴を脱ぐときに、中敷きが溶けて靴下にくっついていた。
足の裏が暑いと思わなかったが、靴底の温度がかなり上がっていたことを実感させられた。
こういう男性に対して、女性は誰一人も靴に問題は生じなかったのは、礼儀に拘っていなかったからだろう。
この異常な気候で、こんな時間帯に法要や納骨を行うこと自体が無謀なのだが、遠方から集まってくることを考えれば仕方ない。
私は灼熱を予想して、晴雨兼用の傘を買っておいて使った。
ご住職は納骨の際には、僧侶の持つ網代笠を被っておられた。
私は托鉢をしている僧侶が被っているのを見たことがあったが、納骨の儀式で被られるとは思わなかった。
その網代笠は年季のいった立派な物で、普段使いできるような品物では無いようだった。
それに対して、男性は無防備で、私以外は日傘も差さず、一人は奥さんの日傘の中に入れていもらっていた。
靴底が剥がれるくらいのことで法要と納骨を終えることができたのだから、まずは無事に済んだと言うべきかもしれない。
今回はかなり高齢の縁者は参加していなかったので、これで済んだと思う。
高齢で無くても、普段暑さに慣れていない人にとっては、大事になってしまうこともあるだろう。
日にちや時間に融通が利かない行事は、先の気象を考慮しづらいのだから、礼儀を逸してもそれに対応した身なりで望まざるを得ないだろう。
場合によってはペルチェベストやネッククーラーを付けたり、外では帽子を被ることも容認するべきだと思う。
黒の革靴も今後は暑さに耐えられるかどうかを確認しておく必要があるだろうが、酷暑の夏場はそれ以外の靴をみんなで容認するべきだと思う。
男性も女性と同じように暑さに応じた身なりをして、パラソルを持つのが普通になっていくべきだろう。
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