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2025年8月6日水曜日

元チェーンスモーカーは現ベーパー(電子タバコ)

 本当はタバコをまた吸い始めたかった。

普通のシガレットも良いが、パイプタバコや葉巻が吸いたかった。

学生時代には酒よりも、タバコの方が好きだった。

でも、金が無い頃はシンセイを普段吸って、たまにショートホープを吸ったりした。

しかも、シケモク(吸い残し)もキセルを使ったりして吸っていた。

村落調査の合宿では、サークルの先輩がドイツ産のゲルベ・ゾルテや葉巻を差し入れしてくれたので、タバコの魅力を知りもした。

大学院に入ってからは、家庭教師のアルバイトができたので、缶ピースやパイプを嗜むことができるようになった。

村落調査でもシマの仲の良くなった若い人が、タバコを貰いにやってくるので、そこから色々と話が聞くこともできたし、仲良くなれて家族づきあいができた。

大学院での台湾からの留学生からは、台湾ではタバコのやりとりが付き合いとして大切なことも教わった。

一方で論文を書き始めてから、そのストレスから完全にチェーンスモーカーになり、タバコを吸うことでしか気分転換ができなくなってしまった。


教職に就いてからは、普段からパイプを多く吸い色々と銘柄を試すのが楽しみになって、三宮に出かけたりするときは必ずたばこ屋に寄った。

ただ、パイプはキセル以上に脂を掃除したり、焦げを削ったりするのが面倒だった。

元々は、肺にしっかり入れて吸うタバコでは無くて、香りを楽しむ吸い方だったのでパイプは一番合っていた。

それだけ好きだったタバコも、家内が妊娠したことを知ってから止める決心をして、家では全く吸わなくなった。

ただ、飲む機会などではどうしても欲しくなって、人からもらって吸っていた。

完全に止めるまでに3年以上はかかったと思う。


今回はタバコをまた吸い始めたいと思ったのは、退職して研究に力を入れようと思ったからだ。

机にしがみついている時に、気晴らしとしてミントタブレットや飴、グミを試したが、糖尿病には良くないし飽きてきた。

仁丹なども使い始めて、今でも続いている。

それでも、執筆時には昔のようにタバコを非常になつかしく感じたのだ。

しかしながら、家内がタバコが苦手で匂いが嫌だし咳が出るというので、タバコは諦めざるをえない。

そこで、行きついたのがニコチン・タールなしのベープ(電子タバコ)だった。


ベープの香りは、ミント、レモン、タバコの3種類を使っている。

最初に使ったのは、リキッドを入れて気化させるアトマイザーが小さい物だったので、扱いづらかった。

期待したタバコの香りも、本物とはほど遠くて、気休めで吸う感じだった。

そのうちは、どれも飽きてしまって吸うことをしばらく止めていた。

最近、また何かリラックスできる物はないかとネットで調べたら、CBD(カンナビジオール)という、合法の大麻の抽出液に行きついた。

ベイプを吸う道具も新調してCBDを吸い始めたが、薄いレモンの香りのするタバコのようなふわーとした気分を感じだ。

確かに、リラックスできているようで、酒の量も減ったと思う。

ついでに、かつて使ってリキッドが残っているので、アトマイザーも買い足して再び吸い始めた。


CBDは合法でも大麻の成分というと、何か危険な感じがするのだが、医療目的にも使われているので安心でもある。

かつて、ドラッグ(薬物)を文献で調べたことがあった。

デイヴイッド・T・コートライト『ドラッグは世界をいかに変えたか-依存性物質の社会史』(春秋社)である。

我々は医食同源と言う言葉を知っていて、基本となる食事が自分の健康を保つことだと分かっている。

あまり知られていないが薬食同源という言葉もあるようだ。

これは特定の食材の効能を強調するときに用いるようだが、実は依存性があってサイコアクティヴ物質をもっている食材をよく摂っていると前出の本に書いてある。

一番好例はカフェインを多く含むコーヒーやお茶などであるが、ドラッグとは意識していないのが普通だろう。

ただ、お茶は古くは薬として使われていたのを知っているし、今でもカテキン効果を期待している。

タバコもドラッグとしてでは無くて、身体に悪いが気分を良くする嗜好品という感覚だと思う。

また、その本では砂糖もかつてはヨーロッパで薬品と見なされていたし、他の薬物同様に奴隷や労働者を酷使するのに欠かせなかった。

ラム酒は黒人奴隷を働かせるのに活用されたのは有名な話だ。

日本では酒、タバコは税金をかけて、ドラッグ依存者を利用しているのだから、ヨーロッパで行われていた搾取とそれほど変わらない。

かつての日本人男性はタバコを吸いながら過酷な仕事をこなしてきたのであり、百害あって一利なしといわれても、ワーカーホリックには欠かせない物だった。

薬と毒は使い方の違いだけだと言われているが、タバコも過剰に吸わなければ気分転換としての薬にもなっていたはずだ。

タバコは癌の原因として目の敵にされてしまっているのだが、糖尿病の原因としての砂糖などの糖類も最近では目の敵になっている。

本当はドラッグそのものに原因があるのでは無くて、過剰な使い方をしてしまうストレスのかかった生活に原因があると思う。

今はゆったりと生活できているので、ストレス解消としてでは無くて、ちょっとした気分転換のひとつとしてのベープと上手く付き合いたいと思っている。

今のところ、酒やタバコのように高い税金がかかっていないのが何よりも魅力だ。


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