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2025年9月15日月曜日

年金暮らしの野良人

 飼い犬、野良犬、山犬(狼)そして飼い猫、野良猫、山猫という言葉がある。

英語に直すと犬はpet dog,stray dog,wolf、猫はpet cat, stray cat,lynx(wild cat)

日本では山犬と狼は区別しようとする意図があるが、英語では無いようだ。

これは日本で豚と猪を区別するが、中国では区別しないのに似ている。

家畜化された犬猫が野生に戻って存在するのを許容するかどうかの違いのようにも思う。

日本は野生化した犬は野生そのものの狼とさほど区別はしていなかったようだ。


また、ペットの位置づけは食用とか使役の問題だろうが、日本では犬や猫は肉ないし皮を利用したり、狩猟やネズミ退治に使われていた。

江戸時代に生類憐れみの令が出されて、犬は特に食用を禁じたようだが戦前までは食べる人もいたようだ。

英語のpetは愛玩の意味が強いようで、日本のような利用をしないようだ。

そういえば、欧米では馬は愛玩動物の意味もあるのか、決して日本のように食べないようだ。

日本人は家畜は建前上は使役のみで、実際に裏では食用にもなっていた。

そういう意味で、本土の馬や牛は犬や猫と違って飼い馬、飼い牛、と言う表現はないけれど、馬を飼うとか牛を飼うと表現もする。

牛馬と犬猫の厳密な区別がなされていないように思う。

その点で行けば、英語では犬・猫・馬はhave,keepを使い、牛はraiseで区別しているのは食用とも関係しているのかもしれない。


一番大きな違いは野良犬と野良猫だ、英語のstrayには迷うとかはぐれるの意味があるが、日本語の野良にはそういう意味は無い。

野良は屋外を指すが迷う場所でもはぐれた場所でも無く、野生そのものの「山」よりも人の生活に近い場所を言う。

英語では本来人と共にあるべき犬・猫が迷ったりはぐれている意味があるが、日本語は人に飼われてはいないが、野生の動物のように自活はしていない状態を意味している。

そして、そういう人には飼われずに居住地域周辺に生きる犬・猫の存在を許容していたように思える。

野生でも家畜でも無くて人のそばで生きてきたのが野良犬・野良猫だった。


人の場合は今の日本では屋外で生活していると浮浪者と見なされる。

昔は木地師やマタギのような移動生活者もいたが、仮小屋とは別に家屋を持っているのがふつうだったようだ。

だけど、人類の歴史を考えると狩猟採集時代の移動生活が殆どだった。

そして、日本では定住生活になっても、常に村落の回りや自然界の山や海との関わりを保ち続けていた。

そこで、山仕事をしたり野良仕事をして暮らしてきたのだ。


近代化されて、都市部に暮らす人は信仰やリクレーション以外に、自然との関わりを無くしていった。

農林水産業に携わる人も、収入の対象としての自然という見方になってきた。

野良作業・仕事は賃金目的でする労働のことを指してはいない。

暮らしに必要な物を手に入れたり、村が山になってしまわないために行う作業・仕事を言う。

完全に機械化管理されたところでは野良作業・仕事とは言わないだろう。

野良作業・仕事の方が肉体的にきつくても気楽で面白いこともある。

そこから得られる物を金に換算したり、時間に追われることが無いからだ。

本来賃金目的でする仕事には無い魅力があるし、時間に追われない分、好きな研究や多くの趣味や健康管理に没頭できる。


私は今は完全退職して、畑での野良仕事を中心とした生活をしている。

作った農作物はたまに人にあげるが、殆どは家で食べる物だ。

出荷して金に換えても大した額にもならないし、いろいろ面倒なことも起こる。

そして、自分の都合に合わせて朝早くでも、夕方遅くでも自由にできる。

季節によって、村の回りの山菜なども採って食べたりもする。

村の溝掃除や道作りなどの野良仕事もちゃんと参加している。

以前は、それに出ないと出不足金を取られていた。

今は、出た分を村会費から引いて貰えるが、賃金は支払われない。

いわば家には住んでいるけれど野良人と言っても良いかもしれない。


これまでは、収入を得るために学校の教師として働いていた。

言い方は悪いが、県に飼われていたと言って良いだろう。

ペットのように可愛がられはしなかったが、雇用は守られて生活できる賃金をもらうことができていた。

その代わり、時間外の労働や、無理な仕事を命じられることも多く、心身の健康を害することもあった。

年金が完全支給されて、やっとそういう賃金目的の仕事から解放されたのであってはぐれたのではない。

雇われ続けたかった人にとっては、追い出されたとかはぐれたと感じるかもしれない。

私にとって野良作業・仕事は大切な生きがいであるのでそのように感じない。

できれば、山や海で狩猟・漁労もやってみたいが、それはこれからの課題だろう。

現代の日本の勤労者の殆どは賃労働とボランティアしか頭にないかもしれない。

野良作業・仕事は結果的に収入になったり奉仕であったりするかもしれないが、それを目的としていない。

本来は自分の意思で自由に居住近辺で野生と向き合うのが野良作業・仕事だと思う。

そういう作業・仕事を立派にこなせる野良人になることに努めたいと思っている。

その一方で、山人や海人に対しての憧れも抱き続けている。





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