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2025年9月6日土曜日

ドーパミンから見た社会①~芸能スキャンダルの背景~

 以前から神経伝達物質のドーパミンのことが気になっていた。

そこで入門書と思って

『もっと!―愛と創造、支配と進歩をもたらすドーパミンの最新脳科学』   ダニエル・Z・リーハーマン、マイケル・E・ロング 梅田智世訳 2020(2018 THE MOLECULE OF MORE  How a Single Chemical in Your Brain Drives Love, Sex, and Creativity and Will Determine the Fate of the Iluman Race) 合同出版 

(以降D・Z・リーハーマン&M・E・ロング2020(2018)]と記す。)

を図書館から借りて読んでいる。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』には、ドーパミンをきちっと医学的に概説してくれているが、前記の入門書を読むと理解しやすい。

この書は、ジョージワシントン大学の精神医学・行動科学部教授のダニエル・Z・リーハーマンとライター、スピーチライター、脚本家のマイケル・E・ロングの共著である。

つまり医学的な内容を、分かりやすいように物語として事例を挙げているのだ。


その中で、女あさりを唯一の楽しみとする優秀なソフトウェアーの営業マンであるアンドリューの例がある。

これは、まさしく芸能界を揺るがしているスキャンダルの理解にもってこいの内容だった。

そもそもドーパミン自体が快楽物質だと誤解しがちだがその本質を知る必要がある。

第1章 愛●恋愛から友愛へと 第2章 依存症●「欲求ドーパミン」の駆動力D・Z・リーハーマン&M・E・ロング2020(2018)]から重要に思えることを上げると次のようになる。

①ドーパミンは脳が身体外空間を処理するときには、あるひとつの化学物質が、ほかのすべての化学物質を凌駕する支配力を行使する期待と可能性を司る化学物質

②ドーパミンの本質は、期待物質。いま手にしているものを楽しむためには、未来志向のドーパミンから現在志向の化学物質に脳を移行させる必要がある。

③現在志向の神経伝達物質は、セロトニン、オキシトシン、エンドルフィン(モルヒネの脳内バージョン)、そしてエンドカンナビノイド(マリファナの脳内バージョン。「内因性カンナビノイド」とも)と呼ばれる一群の化学物質だ。(著者はヒア&ナウ(H&N)」と呼ぶ)

④ドーパミンが強迫的な切望を司る物質であるのに対し、長期的な絆ともっとも関係の深い化学物質は、オキシトシンとバソプレシンだ。オキシトシンは女性で、バソプレシンは男性でより活性が高い。

⑤ドーパミン停止がオーガズムをもたらす


⑤が最もスキャンダルと関連しているので詳しく引用する。

セックスはいわば早送りの愛だ。セックスは欲望からはじまる。これはテストステロンの引き起こすドーパミン作動性の現象だ。それに続く興奮も、未来志向のドーパミン的体験だ。身体的な接触がはじまると、脳の支配権はH&Nへ移り、おもにエンドルフィンの放出をつうじて感覚的な体験の喜びがもたらされる。行為の極致、すなわちオーガズムは、ほぼ完全に「いまここ」での体験だ。この瞬間、エンドルフィンをはじめとするH&N神経伝達物質が連携し、ドーパミンをシャットダウンするD・Z・リーハーマン&M・E・ロング2020(2018):40-41]


要するに女性をとっかえひっかえ引っかけて喜びを得ている人は、ドーパミンに支配されており行く着くところはセックスよりもナンパそのものになるという。

それは、ドーパミンは快感そのものを与える物質では無いことが原因となっている。

つまり、ドーパミンに支配されてなければ一人の女性から得られる快感でも満足できると言うことだ。

この書では、ミックジャガーのSatisfactionの歌はまさしく、満足いかない彼が4000人くらいの女性とつきあった事を表現する歌だったことが書いてある。

元ビートルズのポールマッカートニーも女あさりで有名だが、ミュージシャンのモチベーションはドーパミンによって維持されているのかもしれない。

そうすると、芸能人が同じような行動をとるのも不思議では無いのだが、本人の魅力で女あさりをしたのと、権力や権威を背景に不同意の女あさりをしたのでは意味が違う。

芸能人で無くても音楽や絵画などの芸術家や文学者などが女あさり的な行動をするのは良く聞かれる話である。

また、政治的権力や経済力を背景とした女あさりを「英雄色好む」と表現したいりもして、1万円札になった渋沢栄一もその一人だろう。

大国のトップもそういう噂は絶えないので、英雄はドーパミンに支配されているとも言えるかもしれない。


この書はまだ全部読み切っていないので、もっと人間の本質に迫る内容が期待できると思っている。

私は文化人類学の研究の途上で、人類の認知機能の問題に強く関心を持っている。

これは他の地球上の植物や動物と連なる重要な問題だと思うからだ。

そういう進化論的な問題だけで無く、社会問題の理解にも役立つように思えたので、今回紹介しようと思った。

今回は触れられなかったが、薬物依存の問題もこれを読むと良く理解できる。

これは芸能界だけで無く経済界の問題にもなってきたようにも思うのだが・・・・・




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