彼女は、けなげにお手製のクッキーを、赤いハートマークの絵柄のはいったすてきな袋に包んで、お世話になった先生の机に配って歩いた。
春休みで職員室にいる先生は多くなかったが、手渡しできる先生には「ありがとうございました」とお礼の挨拶をして回った。
二年生の終わる3月31日で学校を離れる、私が担任している女子生徒である。
その姿がいじらしくて、涙が止まらなかった。
決して、きれい事で済むような一年間では無かったけれど・・・
彼女はフルートが上手で、吹奏楽部のステージ演奏では、輝いて見えた。
それと同じくらい、今日の彼女は輝いて見えた。
明るい笑顔で去って行く生徒を見送りながら、気持ちのやりどころは無かった。
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