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2014年4月12日土曜日

遠くの自慢の子より、近くの不出来な子

親は子供が努力して、良い大学へ進み、良い就職ができるよう願い支援する。
子供もそれに応えるべく、受験勉強に励み、就職活動をする。
ところが、田舎では結局、親のそばにいるのは、それがうまくいかなかった子供である。
私もその一人である。
東京の大学院にまで進み、結局挫折して地元に帰って教師になった。
一つ下の弟は、良い大学に入り東京の企業に就職した。
当然、親は弟が自慢で、一時は家を弟に継がせようとした。
しかし、弟には地元に帰る意識などなかった。
そして、親の面倒を少しでも見られているのは、できの悪い私と、似たような末の弟である。

今回、家内の入院に際しても、大学院に進学した娘は帰って来れなかった。
大学を中退して、家にいて福祉関係の仕事に就いている息子は、家事をがんばってくれている。
施設のつとめで身につけた、食器洗いや、洗濯物を干したり取り入れをこなしてくれている。
私と息子の二人で、何とか家事をやっている。
私の学生時代だったら、娘と息子は逆の関係だっただろう。
娘を遠くの大学に行かせることなどあまり考えられなかったからだ。
もう少し昔だったら、長男は家を継ぎ、弟が遺産代わりに進学させられた。
今は男女も長男も関係なく、一人で生きていけるために教育を受けさせる。
継がせるべく家業も財産もないからである。
学校では自己実現と掲げて、良い大学へ良い企業へと生徒を送り込む。
そして、親は取り残されるか、それがうまくいかなかった子供と暮らす。

人は狩猟生活から、農業を行うようになっても、家族や親戚、地域の人と互いに助け合いながら暮らしてきた。
一部の群れをなす動物を除いて、多くの動物は子供は成長すると親から離れていく、それと人も同じになったように思う。
国家と企業が戦略上、都合の良い人材を確保するために、厚生福祉政策を行いそういう社会を築きあげた。
最近のニュースで将来に一人暮らしの数の割合が25%を超えると言っていたが、それを仕組んだのが何かを報道していなかった。
夕方、買い物行くと年配の男性の姿が多いのに改めて気がついた。
おそらく、こんな田舎でも一人暮らしの男性だけでなく、女性も多いのだろう。
一人で夕食をとる寂しさを想像してしまう。
国家が福祉政策で老後の面倒を見てくれても、孤独をいやしてはくれない。
家内が入院して、老後の一人暮らしを垣間見た今の実感である。
そういえば、親元の隣に住んでいた祖母が「偉くなんかならなくて良い」とよく言っていた。
それは単に僻みや嫉みではなかったのだなと最近つくづく思う。
だから、生徒にも「そんなに偉くならなくて良いのだよ」言いたいのだが・・・

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