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2014年5月17日土曜日

野獣死す

高校時代の一つ上の先輩のN氏の訃報を聞いた。
脳梗塞で一度倒れて、二度目で結局旅立ってしまった。
彼は高校ではサッカー部のキャプテンもし、突出した風格を持っていた。
前歯は試合で蹴られて折れて、そのままにしていた。
遊びも大好きで、やばいことをして小遣いを稼ぎ、それで授業料を稼いだと自慢していた。
一つ上の先輩の中では一番目立つ存在でもあった。

その先輩は彼が高3の時に、文化祭で一緒のバンドを組んで、ドラムを叩いてくれた。
とにかく、サッカーをやっているので、蹴りが強くてバスドラがよく動いてしまった。
あまり音楽に触れていなかったので、リズムはよく狂ったが力強さは魅力だった。

彼は、私も夢見た北大の農学部の獣医学科に合格した。
訃報で以外に、獣医としてどのように暮らしていたかは伝わってこなかった。
しかし、高校時代の彼の行動から、豪放な生活をしていたことが想像できた。
前歯が折れても無頓着でいた彼のことだから、健康にあまり留意しなかったのだろう。
よく働き、よく飲み、よく食べて、よく遊んだであろうことは間違いない。

高校時代の文化祭のステージでやった曲の中で、彼が一番気に入っていたのは、漫画ギャートルズのエンディングの曲であった。
「なんにもない なんにもない 全く何にもない 生まれた生まれた 星が生まれた・・・」
このシンプルな曲を、彼の希望もあって敢えて使った。
私はビートルズのHeltere Skelterが一番歌っていて興奮したが、野蛮に見えた彼の方は静かな曲が好きだった。
野獣のように闘った彼は、心優しい人でもあった。
きっと、広い宇宙のどこかの星になって、前歯の抜けた顔をしてにやっと笑っているだろう。

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