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2019年3月26日火曜日

私の原点「コンチキ号探検記」

今、オセアニアに関する文献を読んでいるが、その中でT.ヘイエルダールの「コンチキ号探検記」が登場する。
ポリネシア人の起源を南米インカに求める筏による探検記だ。
私は小学校の三年生の頃、クラスの後ろにある学級文庫の中から、小学生向けに書かれたこの本を手にした。
非常に面白くて、わくわくしながら読んでだのを憶えている。
それが、人類学と関係していたのを知ったのは、大学で文化人類学を専攻し始めての頃で、すっかり忘れていた。

実は、私は大学時代は琉球、特に奄美を研究してきたが、大学院では当初はオセアニアのニューギニアを研究する予定だった。
当時はインドネシアの研究が盛んで、大学院の先輩も多くいたので、避けてニューギニアにしただけである。
しかし、当時の私にはニューギニアは手に負えなくて、結局奄美で修論を書くことにした。
それ以来、ニューギニアともオセアニアとも殆ど縁が無くなった。
しかし、日本や琉球を知る上で、オセアニアの研究は非常に参考になることに気がついた。
そんな中で、久しぶりに「コンチキ号探検記」の名前を目にしたのである。

小学生の時に読んだ本が、後の自分のライフワークに繋がっていたとは、妙な縁だと思う。
そこから得たのは、わくわくする冒険心だった。
それは、村落調査で奄美に渡った時と通じるものがある。
齢を重ねて、引きこもりがちになる心身だが、もう一度原点に戻らねばならないと思う。
三浦雄一郎さんのようにエベレストに登るほどのことはできなくても、またフィールドに戻ることは可能だ。
「コンチキ号探検記」の文字はそう自分に言い聞かせるきっかけとなった。

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