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2024年9月7日土曜日

血尿と膀胱癌検査

 突然、経験したことも無い血尿が出た。

私は大学時代に剣道部の合宿に参加して、宿舎の小便器が血で染まっていたのを見たことがあったが、自分が血尿を出すとさすがに不安になった。

すぐに私はネットで原因を調べた、一番可能性があったのは症状から腎結石だった。

腎結石の原因となるような飲食に心当たりがあり、特にナッツ類をよく食べていた。

とにかく、ネットでは血尿が出たら、病院に必ず行くようにと書いてあったので、以前かかっていた総合病院に電話で予約を取った。

そして初回は尿検査と問診だけで原因が分からず、後日CTを撮ることになり、その週の金曜日に検査に行った。

CTは造影剤を入れるのに、針が神経に障ったらしく、右手首が痺れるように痛いので、左手に変更された。

右手の痛みは後遺症として動かした時に痛くて現在も痛みは続いている。

全身が熱くなったり、あまり気持ちいいものではなく、検査員が副作用(アナフィラキシーショック)を警戒しているのが不安にさせた。

検査後に出た尿は薄い茜色で、便器も多くのそういう患者が使ったと見えて色がこびりついていた。

翌週の火曜日に診察を受けたが、CTの画像には結石は写っていなくて、痛いけど内視鏡をいれて膀胱癌の検査するといわれたが、次出たら受けますと言って断った。

自分は勝手に腎結石だと思い込んでいたのに、膀胱癌の恐れがあって内視鏡検査が必要と言われてもそれに気持ちが対応できなかったのだ。

原因が分からないので、薬は出してもらえず、それがまた不安ともなった。


家に帰ってから膀胱癌も色々調べたが、熱中症でも血尿が出る場合があると書いてあったので、自分はそれではないかと良い風に見立てて自分を安心させた。

早朝の散歩で汗まみれになり、夕方の農作業では冷却ベストを中に着た空調服で作業していたが、これも汗まみれだった。

また、プールに行って2000mほど泳ぐと、汗が出たせいか体重は2kgほど落ちていた。

とにかく、糖尿病の改善のため体重を落とすのに、無理な運動や作業をし続けていた。

一番悪かったのは、夕方からの晩酌で、350mm缶ビール1缶、赤ワイン、白ワインそれぞれ1杯ずつ飲んだ。

そして、寝る前に寝酒として、炭酸割りの芋焼酎をそこそこ飲んでいたのだった。

普通の熱中症の症状は無かったけれど、きっと身体が悲鳴を上げているのだと解釈して、一番恐れた膀胱癌は考えないようにした。

何せ、二ヶ月ほど前から水分不足のせいか排便に苦しみ、酸化マグネシウムを毎月通院している医師に言って出してもらっていたが、その量も増やしてもらっていた。

ただ、膀胱癌の症状の多くが今の自分に当てはまった。

腰痛はその最たるもので一時はまともに動けないほどで、しばらくして収まっていたがまた痛くなっていた。

ただ、内臓からくる腰痛は安静時でも痛むが、私は動かした時に痛いので違うようにも思えたが、不安は不安だった。

ネット情報では膀胱癌の原因に喫煙と飲酒が上げられていた。

たばこを吸わない自分にとって原因と考えられたのが飲酒だが、以前から排尿するたびに膀胱に負担をかけているとはずっと思っていた。

それで今度、血尿が出たら必ず内視鏡検査をする決心はついていた。


不安ではあったので、なるべく水分を多く摂って、翌日の水泳もゆったりと泳ぐことに努めた。

ただ、飲酒に関してはいつものようにやってしまった。

それが災いしたのか、翌日の午後に恐れていた少し血尿がまた出てしまい、腹を決めて病院に電話して翌日の予約を取った。

それからは、最悪の膀胱癌を覚悟して、治療方法などをネットで色々調べた。

家内には最悪のケースでは、5年生存率が50%かもしれない、70歳までに死ぬかもしれないと話したりした。

深刻になって暗くなってはいけないので、冗談を交えながら、膀胱癌のことを話した。

そして、私はいつもの”Romeo must die"と嘯いていた。

これは、筋書きで行けば必ず死ぬ運命という意味らしいが、私はロメオのように美男子だから早死にするのだと勝手に普段から冗談で言っている。

私は何か健康に不安があるといつも「死ぬかもしれんよ」というのが、口癖にもなっているが、今回は本気の大安売りだった。

夕方にはいつものように農作業したが、さすがに、その日は缶ビール一杯だけで飲酒は控えたので、食欲がなく翌日の体重は1kg減っていた。


翌日の午前の内視鏡検査を受けるまでは、ずっと膀胱癌と決めつけていた。

というのも、昨日の血尿は水分不足や熱中症とは無縁で、ネットでは血尿の原因を癌以外に見つけることができなかったからだ。

自分のように激しい作業や運動をして、水分をビールやワインで補って血尿になるケースはあまり無いのだろうと思う。

そういう人は、痛風になるのはよく聞く話で、その経験ある私はそちらには気をつけて尿酸値を低くするよう心がけていた。

予約の時間を1時間も待たされ、問診を少しした後ですぐに処置室に行き、検査用のパンツをはいて、検査椅子に股を開き足を上げて座った。

年配の女性看護師さんに陰茎を消毒される恥ずかしさより、これから内視鏡を入れられる怖さの方が勝った。

前にはカーテンが掛けてあって処置する様子は分からず、内視鏡を尿道に入れられる時はもどかしい痛みを感じたが、尿道の痛みは検査後の排尿時にだけ翌日まで続いた。

看護師さんから斜め上にある画面を見るように言われ、膀胱内の様子が映っていたが、自分にはよく分からず、なぜか白い浮遊物が多くて濁っていると指摘されていた。

検査する前に膀胱内の尿のことを気にしたのだが、やはり検査で漏れたので看護師さんが拭いてくれていた。

痛い思いをして受けた内視鏡検査では、結局癌は見つからなかった。

医者も出血の原因が分からないようだったが、炎症が見られるので薬(クラビット)を出してくれた。

そして、血尿がまたあるまでは来る必要が無くなった。

さっきまでとは一転、私は晴れやかになり、ラインで結果を家内に送った。

家から病院に出かける時は、ショックでメールできないかもしれないと言っていたのが嘘のようだった。


しかし、今回思い知ったのは、家内は喀血した時に医者からは「十中八九は癌だと思っていた」と言われていたことや、手術で癌になる手前の腫瘍を摘出したことがあったことだ。

今回の、血尿による膀胱癌検査だけでも不安になり、ひょっとして70歳まで生きられないのかと思ったりした。

家内のその当時の不安をくみ取れることはできていなかった自分に気がついた。

今回は今のところ癌ではなさそうだが、本当に癌になっている人がどれだけ不安とともに生きているのだろうかと思う。

私のまわりに膵臓癌で亡くなる人が多いので、そちらには注意していたのだが、きっと盲点があると思った。

一方で、万一膀胱癌であったとしても、森永卓郎さんと同じように、書くべき本を書き終えないと死ぬに死ねない、書き上げるまで生きてやろうと思った。

だから、癌ではないにしろ寝酒は辞めることにしていたので、医者には寝付きが悪くなる理由を言って、睡眠導入剤を出してもらった。

そして、医者は絶対ではないので、癌を含めていろいろ見逃している可能性があるので、65歳の年齢相応の仕事や運動をすることにした。

血尿は家内の小言以上の絶大な効果を私に及ぼすことになったわけである。


(その後1)

薬も6日後に切れて、排尿に少々違和感を感じ始めた。

それでネットで調べるとグランベリーがこういう症状には良さそうなので、注文して飲んでいる。

また、家内がかつて膀胱炎になった時に、飲んでいた漢方薬が期限切れながら残っていて、それも飲んでいる。

とにかく、身体への負担を減らし、水分補給をこまめにして用心しているので、1週間以上経った今のところ、血尿は出ていない。






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