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2013年12月8日日曜日

豊かではないが貧しくはない生活

NHKのBSのアーカイブ特集として、チベットの人の暮らしぶりが深夜に放映されていた。
チベットの人が、凍り付いた湖で村人が協力し合って羊を島に渡していた姿は圧巻だった。
食事や祭りを通して、家族や村の人と親密に交わる姿にも、心が和んだ。 
その中で羊飼いが言った言葉「(自分たちの生活)豊かではないが、貧しくない」が記憶に残った。
当然、物質的に恵まれている、私たちの暮らしからすれば随分、物質的に不自由な暮らしである。
同じ生活をしろと言われても、フィールドワークなら一年は暮らせるかもしれないが、居着くことはできないと思う。
ただ、今の田舎暮らしと比較するなら、ほんの一部だが似たところがあるかもしれない。
農作業や、庭の手入れをして休日を過ごし、夕日に照らされた紅葉の山を見ながら散歩する。
近所の人とは何気ない会話をして、家ではささやかな晩酌を楽しむ。

私が奄美与路島のフィールドワークをしていた頃、夜は家々を訪れて話を聞いていた。
夜に家々を訪れることは、島の人も普通に行っていた。
さすがにここは田舎といえど、夜に他の家を訪ね歩く人はほとんど居ないが、夕方はたき火を囲んで居る人や、散歩を一緒に楽しむ人を見かける。
そう言えば、与路島でも夕方になると、浜辺に人が集まって話をしたりしているお年寄りが多くいた。
最近は何となくここでの生活が与路島と同じような生活に思えてきている。
夜中にフクロウの鳴き声がすると、与路島と一緒だなと思う。
面白いことに、近所の農家が山羊を多く飼いだした。
奄美や沖縄のように食用ではなくて、草刈りの手間を省くためらしい。
農業だけで生活することは決して楽そうではないが、私たちのような雇われ人とは違うたくましさを感じる。
どんどん、新しいことにチャレンジしているからである。

そういう生活こそ、心が「貧しくない生活」なのだろう。



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