先週の日曜日、葉山に住む弟(次男)の嫁の父親の葬儀のために、私の母親の代理として神奈川県の逗子に出かけた。
午後一時に告別式だというのに、家内は相生駅の朝一番の新幹線で行くという。
新幹線駅の新横浜から横須賀線の逗子駅までは1時間程で行くことができる。
関東の土地勘の無い家内は、時間を多めに見積もったようだ。
私はもともと横浜市緑区長津田に住んでいたことがあるので、時間が余ることは分かっていた。
せっかく逗子に行くのだから、少し観光もしてみようと思って、家内の言うに任せた。
家内と新幹線に乗るのは三回目で、一回目は新婚旅行の時に新大阪まで、二回目は子供を連れて結婚式に千葉まで行った時である。
つまり、二人きりで乗るのは二回目であり、家内は20年あまりぶりに新幹線に乗る。
がらがらのこだま号の車中でコンビニで買ったパンや、家内の母親に作ってもらった弁当を朝食にとった。
朝早かったせいか、車中では家内は殆ど睡眠、私はスマホで音楽を聴いていた。
新大阪でひかり号に乗り換えて、富士川の鉄橋を渡る頃に綺麗な富士山が見えた。
頂付近にまだ筋状に雪が残っており、こういう富士山を見るのは初めてだった。
寝ている家内を起こしたが、車中から初めて富士山が見えたと喜んでいた。
新横浜で降りてから、家内は完全にお上りさん状態になり、私に頼り切りになった。
私とても、横浜線を使って鎌倉に行った経験は一度しか無く、私鉄を使う方が多かった。
どこで時間をつぶすか迷ったが、結局切符を横浜までしかかってなかったので山下公園でつぶそうと思った。
根岸線の関内駅から歩いて港までは結構距離があった。
感じは神戸に似ているが、町を歩く人たちが日曜ということもあるが、ゆったりとしていた。
また、ジョギングをする人が多いのにも驚かされた。
山下公園の付近の港では、カッターレースが行われていて、沢山の人だかりである。
これで屋台が多く出ていれば、まさしく相生のペーロンである。
会場付近は屋台では無く、出場チームのタープテントで一杯だった。
日差しは強かったが、風が心地よかった。
ベンチに座って見学しながら、食べ残していたおにぎりを二人で食べた。
カッターレースは面白いのだが、海がまるでどぶ川の色で、自分も加わりたいとは思わなかった。
山下公園はちょうどバラの花が綺麗に咲いていたし、百合の花も綺麗だった。
少し長居しすぎて、東京に単身赴任している弟(三男)と、待ち合わせの逗子駅に着くが30分も遅れてしまった。
私は根岸線の電車がこんなにゆっくりと大船駅まで行くとは思っていたなったからだ。
小田和正が歌っている根岸線、一度だけかつて次男の弟が住んでいた磯子に来たことがあった。
大船駅から横須賀線に乗りかえると、鎌倉へ向かう観光客が一杯だった。
逗子駅では本当は弟と昼食をとる予定だったが、そのまま葬儀場の長運寺にタクシーで向かった。
昼食もとらないまま、一時からの告別式に参加した。
予定では骨揚げまで付き合う筈では無かったが、済んで戻ってから帰ることになった。
斎場で待つ間、ビールとおつまみ、そしておにぎりが出された。
初めての故人の関係者と挨拶や話をした。
告別式でも不思議に思ったのだが、地元のお寺で葬儀をしていながら、近隣の人は殆ど参列が無かった。
聞くところによると、享年81歳の故人は古くから住んでいながら、地元の人とのつきあいはあまり無かったそうだ。
葬儀を済ませて、弟と逗子駅付近の寿司屋で遅い昼食をとった。
こぢんまりとしたその寿司屋には、大江千里のサイン色紙が飾ってあった。
弟は京急で帰るので逗子駅で別れて、我々夫婦は今度は本線で横浜に向かった。
周りの風景は自分がいた約35年前と全く違ってはいたが、線路は当然昔のママである。
横浜駅から横浜線に乗り換える時には、そのまま長津田のアパートに戻るような錯覚に陥った。
その頃そばにはいなかった家内に、思わずそうもらしてしまった。
横浜駅は一度だけ大学のゼミに呼ばれて講義をした時の思い出のホームでもある。
その時に呼んでくれた先輩ももう大学を退官されたことを、数年前はがきで知った。
新横浜駅からはやはり自由席は混んでいて、夫婦別々の席に座った。
夕暮れの富士山のシルエットが美しかった。
何度か富士山は見たことがあるのだが、タイムスリップした私の心にぴったりの風景だった。
名古屋駅からは夫婦一緒に座って姫路駅で降り、相生駅にとまるこだまに乗り換えて、相生駅に降りた。
新幹線に往復6時間以上も乗っていた日帰り旅行はこうして終わった。
葬式でも無い限り、こんな無理な旅行はしない。
家内にとっては滅多に無くて、しかも多くが初めての経験。
私にとっては、昔に戻るセンチメンタルジャーニーでもあった。
翌日もその旅の余韻が心に残り、日常の気持ちに戻すことがなかなかできなかった。
小田和正のMY Hometownを一日口ずさんでいた。
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