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2024年4月17日水曜日

除草剤の冬

 先日、トラクターの後ろに噴霧装置をつけて、除草剤を畦や道路端に撒いているのを見かけていた。

その農家は幅広く水稲の栽培を請け負っている法人で、若い人が雇われてその作業をしていた。

今までは、人手を掛けたり、リモコンの自走式草刈り機を使ったりして、斜面なども刈っていた。

その手間を省くために除草剤を撒いているらしい。

つまり、人件費や機械の維持費を考えると、除草剤の方が経済性が良いということらしい。

数日すると、あたり一面は草が枯れてしまい、まるで冬の景色のようになった。

田んぼの中には撒いていないので、雑草が青々しいし、レンゲも綺麗に咲いている。

ただ、扇状地の水田は斜面が多いので、やたら枯れ草が目立つ、これで田植えのために水を張ったら、本当に冬景色になるだろう。


ネットで調べても、除草剤は人体に影響はないと書いてある。

直ぐに影響は出ないかもしれないが、今後どんな影響が出るのか分からない。

そもそも、雑草が枯れてしまうと、昆虫や小動物のすみかが奪われる。

そうすると、それを餌にしていた鳥などの動物がいなくなるのだ。

以前、農薬の空中散布の影響を書いたが、この除草剤もそれ以上に影響が出る可能性がある。


農業の置かれている状況は厳しいことはよく分かる。

人件費が上がって、人手を掛けるとコストが上がってしまうだろう。

円安の影響で、肥料なども値上がりしている。

農作業をやる人も少なくて、人手不足に陥っている。

やむなく除草剤の全面散布なのも責められない。

このところ、道路の下の斜面も、高速道路のように草抑えシートを設置している場所も増えた。

村作業としてやるには限界が来ているのだ。

農家が疲弊すると、自然環境も失われていくのである。


何か手立てはないものかと思う。

刈らなくて済む草を植えて、伸ばしたままにしておく。

水はけの良い、ブロックや石垣を敷き詰める。

とにかく、雑草などを放置すると、そのうちに木が生えて、手に負えなくなることも確かだ。

また、マダニなどの発生も懸念される。

農家や村人だけに責任を負わせるのではなくて、環境問題として大がかりに取り組んでほしいと思う。

「沈黙の春」は既に始まっているだから。


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