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2024年4月20日土曜日

金より時間が欲しかった

 私はデモしか教師で、博士課程に進めなかったから教師になった。

教師なら研究も続けられると思ったからだ。

初任校は養護学校(特別支援学校)だったので、クラブ指導も無かったし、夏休みもまるまる自由に使えた。

ところが、夏休みの自宅研修は一日毎のレポート報告となり、内容に関しても面倒なことを校長から言われ出した。

自宅研修が自由にとれる雰囲気が無くなっていったが、それでも次の職業高校では、夏休みは午前中にクラブ等で顔を出せば、午後は自由にできた。

ただ、生徒指導は土木科の担任をしていたので過酷で、特別指導に追われた。

その自由な雰囲気が無くなったのは、バブル景気で教員不足になり、給料を上げざるを得なくなってからである。

つまり、給料が安いのでなり手が無くて、上げざるを得なくなった。

しかし、その代わり教師へ監視の目が強くなり、特に特別支援学校では、活動家などは、校門で教師が自由に帰ったりするのを見張っていたりした。

特別支援学校は食事指導が介助の関係で大変なので、その振り替えを帰る時間を早めたりしたが、それもできなくなった。


バブルが弾けて、公務員人気が高まってくると、ますます、給料に似合った民間並みの残業がなされるようになった。

なり手が多いものだから、管理職は遠慮無く教師を使えるようになった。

このころから、こんな筈では無かったと辞めたいと思い続けながら、研究もこつこつ続けてやっと研究したことを本にして出版できてはいた。

授業やクラブ指導が面白くなって本気では辞められなかったし、応募した研究職はことごとく書類審査で落とされた。

しかし、高校の母校のOBの副校長から求められて赴任した高校では寮の宿直が有った上、スーパーサイエンスハイスクールの指定を受けた学年担任で仕事は過酷だった。

そこでは、現役の理科の主任教師が、学校での勤務中に目の前で亡くなっていった。

私も過酷な勤務で自律神経失調症になったりしたので、休養も兼ねて大学院に2年間の長期研修に行かせて貰った。

その教育大学の大学院の教授も、現場は大変なことが分かっていたので、骨休みしてくださいとよく言ってくれていた。

それでも、教師によっては論文が書けなかったり、復帰していじめに遭って、自殺者も出しており、教授もそれを心配していた。

大学校舎から飛び降りたケースもあったので、同じゼミの霊感の強い若い学部からの院生は、車に憑いてしまったとお祓いを受けた。

二度目の大学院修士だった私は、論文は問題なかったが、復帰後に過酷な部署に回された。

そこで、あえて特別支援学校を希望して転勤したが、それは校長が私をよく知ってくれたいたからだ。

当時は、過重な生徒指導、クラブ指導や補習が無くて給料も高い特別支援学校への希望者が多く、わざわざ障害児教育の免許を通信教育で取得して異動する人もいた。

免許を持たないのに異動できたが、高等部の副部長を任されたり、仕事は甘くなかった。

そして、以前のような自由さは乏しくて、支援計画の書類作成などに夏休みは追われた。


これなら同じと、普通校の方が受験指導やクラブ指導でやりがいを感じていたので、また、普通高校に戻った。

いきなり任された二年生から任された担任は、前担任の指導で生じた不登校生二人との対応で過酷な勤務が続いた。

やはり、年間予算1000万円を超える生徒会会計の過重な勤務に嫌気がさして、定時制に移ったが、もっと過酷な勤務だった。

定時制なら、自由な時間で研究ができるという、甘い見通しは吹っ飛んだ。

担任では無かったが、学年主任、進路指導部長、人権部長等々、全日制では考えられないほどの役務を背負わされた。

当然、定時制なので最初から給料は割り増しだが、役職手当もついて高くなった。

しかし、持病の糖尿病はどんどん悪化して言っていた。

そこで、57歳にして、早期勧奨退職に応じる決心をした。

本当は55歳の時に、免許更新をきっかけに全日制の時に退職するつもりだった。

しかし、免許更新を理由として退職を恐れた管理職は、何とか引き留めを図って、何とか研修をさせていた。

私もその一人だったが、そんな例を幾人か聞いた。

この馬鹿げた免許更新制度は案の定廃止になったが、その時に辞めた教師もいたようだ。

私も、さっさと辞めて、別の仕事をした方が良かったかもしれない。

早期退職は当時では私のような高所得者は人件費削減になるので、「辞めても仕事ないぞ」と言いながらすんなりと管理職は応じてくれた。

退職金は残りの60歳までの年収総計には満たなかったので、家内には申し訳なかったが、辞めたことを後悔することは無かった。


公立の教師を残業代を払わずに、教職調整額だけでこき使うやり方を、今回も率を上げて維持するそうだ。

給料が上がって教職希望者が増えるのを期待しているようだが、バブル期の教員不足対応の時と訳が違う。

当時はまだ教師はブラックだとは言われていなかった。

今の学生は、ブラックと分かっていて、金で釣られるほど馬鹿じゃ無いだろう。

ブラックと分かっていても金で釣られるのは、それなりの学生でしかないと思う。

残業代を払うよりも、昔のように大学の教員並みの自宅研修の自由を認めたり、行き過ぎた補習やクラブ指導を辞めるべきだと思う。

このところ、ネットでの求人で特別支援学校や私立高校の募集が目につくのだが、新学期が始まっているのにどうしているのかと思う。

日本の学校教育の質の低下は真逃れないだろう。

自分も落とした一人とは反省しつつ・・・



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