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2018年12月20日木曜日

谷深ければ

私は定時制の高校に勤務なので、朝は余裕がある。
だんだん寒くなって、起きる時間も遅くなったが、朝のNHK連続テレビ小説「まんぷく」迄には床を離れて新聞を読んでいる。
たいがいは、「まんぷく」を見ながら、朝食をとって、その後でクロと散歩する。
NHK連続テレビ小説はどのドラマも見ているわけでは無くて、気に入ったものしか見ない。
今回のように、毎回見ているのは、「ひよっこ」以来である。
「ひよっこ」は高度経済成長期の一般庶民の姿を描いていて、親しみを感じていた。
今回は波瀾万丈の発明家夫婦をモデルにしたものだが、なかなか見応えがある。
ただ、モデルの発明家が台湾出身であることが、表に出てこないがひっかかってしまう。
「おしん」をアジアに送り出したNHKなのだから、台湾も絡めて描いてほしいと思っている。

「谷深ければ、山高し」というのは、株相場の言葉らしいが、このドラマの実業家の人生にも当てはまるようだ。
私はそこそこの谷に落ちてしまった経験は幾度となくある。
そして、山に這い上がる前に、ずるずるとまた谷に落ちていったような気もする。
ただ、どの時もそばで支えてくれていた人がいたから、何とかがんばってこれたように思う。
私はかつて、東京で生活も破綻し、大学院の博士課程進学を諦めて、アルバイトをしていた。
その時に、子供を抱えたまま離婚して、生活に苦労している女性から言われた言葉が忘れられない。
「人生は、平均すれば、皆同じよ」
つまり、どの人も良い時と悪い時を経験していて、それを均せば同じようになると言うことだ。
まだ、20代半ばの自分が、人生に絶望してしまうのは、早すぎるということを言ってくれたのだ。

あれから30年以上経って、一番大きな試練は、自分の「老い」とどう向き合うかである。
やり直しのきく年代と違い、気力も体力も失っていく自分をどう元気づけるか。
ただ、若い時と違うのは、「人の人生は、平均すれば、それほど変わらない」ことの意味が分かっていることだ。
経済的に裕福な人も、それなりの苦労をしてきたであろうし、そしてそれを失う恐れを抱き続けなくてはいけない。
名誉も、死んでしまえば、その人自身には何の意味も持たなくなる。
これからは無理をせず、自分の生きがいを求め続けるしか無い。
それが私にとって、ずっと何十年も続けている研究なのである。
高校生の中には、「自分がやりたいことが見つからない」と言う生徒もいる。
私にはそれがあるだけ幸せなのかも知れない。







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