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2018年2月6日火曜日

見上げてごらん夜の星を

地方から東京へ集団就職し定時制高校に通っていた生徒たちは、励まされたというこの名曲
作詞家の永六輔が定時制出身だったというように、どこで聞いたのか私はいつしか思い込んでしまった。
定時制の高校に勤務していた頃はそれを完全に信じていた。
しかし、ネットで経歴を調べても、それは出てこない。
ともあれ、この曲は特別支援学校でも手話を用いながら歌ったりして、大切に歌ってきた曲だった。
定時制に勤めている時は、夜の帰りに空を眺めながら口ずさんだりした。

私が学年主任をしていたある学年は、修学旅行に行きたいという生徒の数が足りなくて中止になった。
担任の先生や教頭、学年主任の私も校長の指示で、旅行を勧めに家庭訪問を夜遅くしたりもした。
一度延期になった旅行の計画も、その後旅行社と綿密に立て直したのだが、どうしても人数が足りなくて断念せざるを得なかった。
今は3年で卒業する生徒も多くいるので、4年まで通う生徒とは一緒に行けるのは最後の年だった。

3年で卒業する生徒にとっては卒業前の寒い夜、修学旅行が中止になったペナルティーが行われた。
校長の指示で修学旅行の代わりに、学年所属の教師と生徒だけで校舎周りの溝掃除が夜の学校で行われることになった。
当然、生徒には学校への感謝の気持ちと言うことにして、ペナルティーの意味は伝えられる筈もなかった。
生徒たちは一生懸命、暗くて寒い中、溝掃除をしてくれた。
担任の先生が他の学年の授業に行っても、副担任の先生と一緒に黙々と続けてくれた。
重いリアカーをひいて、上がった泥を捨てに行ってくれた。
汚れたじょれんやスコップなどの道具も、冷たい水道水で洗ってくれた。
途中でへたってしまう高齢の生徒もいたが、真面目な生徒は普段以上に一生懸命してくれた。
普段は授業をよくサボる生徒が意外に頑張ってくれて嬉しかった。

見上げた夜の寒空には、だいぶ欠けた月だけが生徒たちを上の方から見つめてくれていた。
私は汗が冷えて震えながらも、生徒たちへの感謝の気持ちで心が熱くなった。
ただ、この曲を聴くと、その時のやましさと悔しさ、一教員としての不甲斐なさの気持ちが時に蘇る。




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