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2024年11月18日月曜日

クイーン(地獄に道づれ)からブルーハーツ(Train-Train)へ

 クイーンの「地獄に道づれ」(Another One Bites the Dust)は、よくラジオなんかで流れているが、英語だから平気で聴いていられる。

銃を乱射して殺し合う世界が歌われていて、日本語に直して歌うにはかなり抵抗があるだろう。

そういえば、ポールマッカートニーの「死ぬのは奴らだ」(Live and let die)も、直訳すれば「くたばらして生きろ」ということだろう。

これも日本語で直して歌うには抵抗があるが、クイーンのように生々しさはない。

日本のロックで銃を撃ちまくると歌ったのは、The Blue Hearts がTRAIN-TRAINでだが、ここではあくまで「見えない銃」なのである。

クイーンのように生々しい銃は出てこない。

1980年にリリースされたシングル「地獄へ道づれ」は、全世界で700万枚以上売り上げ、アメリカの『キャッシュボックス』誌の年間チャートでは1位に輝いたそうだ


アメリカ人の心をしっかりつかんだというわけだが、日本ではタイトルのきわどい響きと曲のリズムが、若者を中心に惹きつけたのだと思う。

歌詞の内容は、ライフル銃を使った西部劇のような世界ではなくて、マシンガンを使った乱射事件の世界だ。

アメリカの銃乱射事件を引き起こした殺人鬼の頭の中で、この曲が流れていたようなイメージでさえある。

私は歌詞そのものよりも日本語タイトルの「地獄へ道づれ」が、これからのトランプが率いるアメリカを表現しているように思える。

今読みかけの本の『「人新世」時代の文化人類学の挑戦―よみがえる対話の力』*1の中で、森田敦郎氏は次のように語っている。


 地球システムの今の状態は、一九五〇年からの急激な経済成長、いわゆる「グレート・アクセラレーション」つまり「大加速」によって形作られました。その結果、大気中の二酸化炭素濃度は、産業革命前の二五〇ppmから急上昇し、現在では四〇〇ppmを超えています。この水準を超えるのは二〇〇万年ぶりとされており、かつてこの水準だった時代は鮮新世の中期以前と言われています。


ということは、たった70年ほどで、200万年の環境変化に地球上の全生物は適応せねばならなくなったということである。

この恐ろしい現実の中で、トランプはかつて大統領の時にパリ協定を離脱し、今回も離脱することが予想されている・

石油を「掘って 掘って 掘りまくれ」とまくし立てるトランプは、人類だけでなく多くの生き物を地獄に道連れしているかのようだ。

かつて、日本も戦国時代は動物よりも人を簡単に殺してしまい、自然破壊も進んでいたという。

その日本が狩猟用以外の銃を封印して自然も回復させていったいっぽうで、欧米は市民革命と世界侵略でグローバル・ネットワークの近代を築いていった。

それは、地獄に道づれの始まりだったのだろう。

日本も関ヶ原以来の体制を維持した薩長を中心に「銃を撃ちまくって」日本を地獄への道づれにしていった。

そして、為政者のみならず学者や文学・芸術家もこの甘美で魅力ある近代の「地獄への道づれ」の先頭に立って、教師も追随していった。


今の時代は、マシンガンも核兵器も地獄行きには必要ない。

今の生活を続けていくだけで良い。

むしろ、The Blue Hearts がTRAIN-TRAINで歌っているように

「見えない自由がほしくて(=限りない欲望) 見えない銃(=CO2)を打ちまくっている」のが我々なのだろう。

栄光に向かって走っているはずの列車は、地獄への道づれ列車だったというわけかな?

下の表は*1の別の章からの抜萃ですが、これが現実です。




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