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2024年11月3日日曜日

借地百姓の躍如

 我が家の近隣の家は農業調整池なので原則は農家で、普通は農地を所有しているが全く作物を作っていない家が増えている。

しかし、うちのように非農家が何軒か紛れ込んでいるのだが、我が家はちゃんと農業もしている。

農地は水田に関しては小作料もはいるので売る必要が無く地価も高くて簡単に手に入らないので、近所の農家から借りている。

その家は、跡継ぎが家を離れているので、私が管理することで無料で借りているのである。

いわば昔で言うところの水呑百姓であるが、小作料も税金も払っていない。

ただ、農地だけではなく、周りの道の雑草も刈り取らねばならなくて、手間と言えばそこそこ手間でもある。

私は引っ越してくる前の赤穂にいる時から、有機農業をしていて、草も生い茂ることが多かった。

だから、こちらで同じことをしていたら、完全に素人と見なされていた。

私自身も経験が乏しく、引っ越してきた当初はタマネギでさえまともに作れていなかった。


今年も、トマトもナスビも失敗し、キュウリも余りとれなかった。

近隣では畑は主に女の仕事で、男は手伝う程度なのだが、専業農家の畑は奥さんが立派に作物を作っておられる。

草が多くて、作物も実っていない私が作っている畑は、青々とした大豆や落花生、サツマイモ、オクラ、高黍などしか見る物がない。

落花生を知らない村の人からは「草だらけやん」と嫌みを言われる始末だった。

ところが、隣の家のNさんでは、我が家以上に不作で、大豆もサツマイモもできていないという。

旦那さんが調子が悪くて、奥さんに任せっぱなしだったせいもあるが、見た目には草もなく綺麗に育っている畑に見えていた。


この家からは、毎年のようにトマトの苗などを頂いていた。

ところが、何でも自分で作っておられるので、返す物がない。

田舎はもらったら必ず返すのが常識である。

農家には返す作物が難しいので、サツマイモと落花生を返礼用に作っている。

柿を植えてないので、近所のOさんから柿をバケツいっぱいもらうので、それに対するお礼はサツマイモでした。

隣のNさんは普段はサツマイモもしっかり作っているので、去年は落花生も不作で返礼できる物がなくて返せなかった。

それで、Nさんも今年はトマトの苗をくれることはなかった。

Nさんから不作を聞いて1年越しにやっとトマトの苗のお返しが、枝豆によってすることができた。

農家に作物をあげるだけに上達したことが嬉しかった。


他にも、近所の非農家の奥さんから、帰郷したお土産だと長野のお焼きを頂いた。

こういう場合はこちらも旅行した時の土産を返すのが普通だが、我が家は遠くに旅行などすることがない。

そこで、その奥さんにもサツマイモをあげたらたいそう喜んでくれた。

うちのサツマイモはシルクスイートなので、甘くておいしいはずだ。

普通のスーパーではあまり売っていないので、違いが分かってくれたと思う。

作物を返礼に使う時には、もらった物の価格が気になるが、そこは適当にするしかない。

家の木になっている柿と、店で売っている柿は品種も違うし、価格は分からない。

野菜の苗なども、品種もいい加減なのだ。

要は、とにかく気持ちを込めて返すのが大切で、貰いぱなしにはできないので、もしそういうやりとりをしたくない人であれば、もらうのを丁重に断る。

特に専業農家には返す物がないので、丁重に断ってきた。


田舎ではお金がなくても、こういう物々交換があるので、色んな物がかつてはやりとりされていた。

以前は、釣り好きの人がいたので、魚を貰ったりしていた。

トンドなどの折に、アワビや鹿肉、牡蠣などを振る舞う人もいて、酒を酌み交わしながらトンドの火で焼いておいしく頂いたりした。

そもそも、自宅で葬式をする人は、手伝いに来てくれた近所の人に飲食を振る舞うのが返礼のようなものだった。

最近はトンドも簡略化していき、葬式も家族葬で近所の人を頼まなくなったので、こういうやりとりはめっきり減った。

そんな中でも、自分が作った物を交換するというのが、田舎に住むことの意味だと思っている。

人によってはJAの直売所に出荷することを楽しみにしているが、出荷の手間やもしものクレームに対応できそうにないので考えていない。

もっと、作るのが上手になれば、余った物をどんどん贈与・交換できるのだが、まだまだそこまでは至ってはいない。

農家にも作物をあげられるようになっただけ、一歩前進はできた気がするが・・・・










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