よく見てみると、兄弟二人の名前が書いているので、長男の後で次男の名前も書き足したようだ。
その鯉のぼりを見ると、息子のために買った同じような鯉のぼりを思い出した。
大きな鯉のぼりは、予算の関係で買えなかった。
ナイロン繊維製で、真鯉は長さ2m程で、緋鯉とセットで5万円ほどしたと思う。

私自身は、家には人からもらったという、古い薄汚れた大きな鯉のぼりがあったのを憶えている。
父親は、洗濯物を干すのに立てた垂木の上で泳がせていた。
だから、平屋の屋根より高い鯉のぼりだった。
今から思えば、当時屋根より高い鯉のぼりは、屋号を持つような裕福な家であった。
そんな中で、分家の父親は少々見栄を張ってくれたようだ。
近所で屋根より高い鯉のぼりをあげているのは、一軒のみである。
その家は、跡取りの息子家族と一緒に住んでおられる。
鯉のぼりを上げ下げするのは、おじいさんの仕事である。
屋根より高い鯉のぼりは、「うちには跡継ぎの孫がいるのだぞ」という、意味合いを持つようだ。
お向かいさんは、おじいさんが孫の顔を見ずに亡くなっている。
屋根より低い鯉のぼりは、そのことを表してもいる。
ただ、子供の健やかな成長を願う親の気持ちは、その高さとは関係ない。
どんな鯉のぼりでも、親の気持ちや、家族の気持ちが込められている。
0 件のコメント:
コメントを投稿