このところ狩猟採集民の民族誌を読んでいるのだが、考えさせられた。
狩猟採集民は確かに運動量も多いが、仕事時間は産業社会の勤労者より少ない。
食べるものも比較的豊富だが、保存方法が限られているので、みんな分配し合って食べてしまう。
余った時間はゆっくりくつろいで、眠ったりおしゃべりしている。
食料は狩猟による肉よりも採集された植物系のものが主体だ(冬場の高緯度地帯は例外)。
ところが、狩猟で大量の肉が手に入ると、一部は干し肉等にするようだが、殆どは食べてしまう。
そして、何よりも思い切り食べた後で、歌ったり踊ったりして楽しみ、おなかがすくとまた肉を食べるという。
場合によっては、翌日の朝が過ぎても踊っていることもあるという。
あまり儀式や祭りらしいものがなくて、大きな獲物が手に入った時が祭りのようだ。
そして、食料の少ない季節には、歌や踊りは殆どないようだ。
そこで思い出したのは、奄美の人が八月(旧暦)には、毎晩踊り明かしていたということだ。
この季節は季候も良く、食料にも恵まれている時期である。
本土では盆踊りとして、月遅れの新暦8月に踊ることが多くて、新暦10月頃には秋祭りで神輿やだんじりで身体を動かす。
本土の踊りは食料とは関係ないようで、有名な青森のねぶた祭は七夕との関係があるそうだ。
本土ではどうも踊りは食料とは切り離されているようにも思える。
その点で言えば、奄美や沖縄の方が食料や飲食と密接で自然に思えてくる。
祝い事の宴会の最後では六調などの踊りで締められるのが普通で、特に沖縄の結婚披露宴の締めでの全員参加のカチャーシーは圧巻だ。
飲食でいっぱい身体に栄養を入れた時は、歌ったり踊ったりする方が肥満にならなくて健康的と言える。
最後に踊ることを考えたら、泥酔することもできないだろう。
そういうことでは、私の父母が生きていた頃は、両親と兄弟家族が集まって飲むと必ずカラオケに行って、歌うことはもちろん、場合によっては踊ったりしていた。
この家風は家内には全く合わなくて、カラオケボックスから帰ってしまうことの方が多かった。
家内の方は親戚が集まってもカラオケをすることはなくて、ひたすら飲んで食べておしゃべりをしていた。
だから、夫婦でカラオケに行くことは全くない。
職場での忘年会ではカラオケが定番だったが、私は職員バンドを組んで演奏するのが楽しみだった。
機材を持って帰らねばならないので、飲めないケースもあったが、翌日持って帰ることにして宴会を楽しんだりした。
現役の教員をやめて一番淋しく思うのは、仲間と飲む機会がなくなったことだ。
職員全体の宴会だけではなくて、気のあったもの同士が飲食した後で、よくカラオケに行って楽しんだ。
このところ、肥満を解消するために、酷暑の中で無理な散歩や水泳をして、かえって身体を壊してしまった。
これからは、狩猟採集民を見習って、歌や踊りをもっと取り入れて、楽しみながら肥満解消をしたいと思う。
ご婦人方はカーブスなんかでの運動が人気だそうで、それはおしゃべりしながら運動できるからだそうだ。
競技スポーツと違って健康スポーツは楽しくないと長続きしないと思う。
今まで、競技スポーツ型の水泳練習をしていたが、仲間とおしゃべりしたり、楽しい泳ぎを工夫した方が良いと思うようになった。
また、パソコンを使っての一人カラオケやギターの弾き語りも大切だと思う。
そういえば狩猟採集民も、狩りの仕草を踊りに取り入れていたが、日本では安木節が似たようなものだろう。
男にはフラダンスなどの踊りがないので、ああいう座敷芸などを練習するのも楽しいかもしれない。
歌と踊りは人類にとって、健康と喜びに欠かせないようことを、狩猟採集民から改めて教えられた。
0 件のコメント:
コメントを投稿